[原子力産業新聞] 2003年7月10日 第2193号 <3面>

[フランス] 原潜解体に拠出

 欧州復興開発銀行(EBRD)は6月30日、同銀行が管理する北方地域環境協力(NDEP)基金に、仏政府が4000万ユーロを拠出すると発表した。NDEP基金への仏の拠出は、主要8か国により昨年に採択された大量破壊兵器などの拡散防止のための行動計画「グローバル・パートナーシップ」への同国の寄与の一環として行われる。

 NDEPは、ロシア北西地域の環境対策の支援を目的として、2001年に開始された国際協力の枠組。原子力分野では、原子力砕氷船や北方艦隊の原子力潜水艦の運行、退役原子力潜水艦の解体によって発生した使用済み燃料や放射性廃棄物の処分などが対象になっている。EU、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデンからの拠出をもとに、EBRDや世界銀行などが運営グループを構成している。

 NDEP基金は、NDEPで行うプロジェクトヘの投資のために2002年7月に設置されたもので、EBRDが管理している。EUの5000万ユーロ、残りの拠出者による各1000万ユーロのほか、カナダも2000万ユーロ拠出している。今回の仏の拠出により、基金は1億6000万ユーロとなる。

 ノルウェーのベローナ財団の調べによると、ロシア海軍北方艦隊ではバレンツ海沿岸の10か所のサイトに、少なくとも使用済み燃料248炉心分、固体放射性廃棄物1万4000立方メートル、液体放射性廃棄物1万立方メートルを貯蔵。退役した原子力潜水艦のなかには、燃料を装荷したままのものもあり、沈没の危険性も指摘されている。


Copyright (C) 2003 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.