[原子力産業新聞] 2003年7月17日 第2194号 <4面>

[日本原子力研究所] HTTR自動停止で 原研が文科相に報告

日本原子力研究所は、10日、5月21日に大洗研究所の高温工学試験研究炉(HTTR)が自動停止したことについて、原因と対策を文部科学大臣に報告した。

HTTRは、一次加圧水冷却器と中間熱交換器を使用して原子炉の熱を除去する並列運転により、出力約60%(約18MW)で運転していたところ、「一次加圧水冷却器ヘリウム流量低」スクラム信号により、原子炉が自動停止した。排気筒、原子炉建家内の放射線モニタ等の指示値は通常範囲内であり、施設外への放射性物質による影響はなかった。

原子炉の自動停止は、一次ヘリウム循環機Aが停止し、その結果、一次加圧水冷却器を流れるヘリウム流量が低下、スクラム信号が発信されたことが判明した。循環機Aの停止要因としては、循環機Aに動力電源を供給する切替遮断器盤に異常が確認された。

切替遮断器盤内部の電気部品について接触抵抗を連続測定したところ、交流側トリップ遮断器の制御電圧監視リレーが時々誤動作を生じ、動力電源が供給されなくなる異常を起こすことが見つかった。このリレーが、常に通電され発熱している他の補助リレーに接近して設置されており、使用温度の上限に近い温度条件下で使用されてきたことにより性能劣化を起こしたもの。

循環機Aの切替遮断器盤に加えて、循環機Aと同種の切替遮断器盤4台について、制御電圧監視リレーについては全数交換、同リレーを熱的影響の受け難い場所に設置した。さらに、HTTR原子炉施設内の動力電源、制御電源を供給する他の盤等について、補助リレーが熱的影響を受けにくい配置となっているかどうか点検、不適切なものは適切に配置するとともに、今後、盤を改造、増設するにあたっては、補助リレー等が相互に熱的影響を及ぼさないように設計する。


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