[原子力産業新聞] 2003年7月24日 第2195号 <2面>

[文部科学省] 「21世紀COEプログラム」審査結果を発表

文部科学省は17日、「21世紀COEプログラム」の審査結果を発表、総計611の応募の中から133件が採用された。工学関係では、東京工業大学原子核工学専攻の関本博教授をリーダーとする「世界の持続的発展を支える革新的原子力」が採用され、学際・新領域分野では、名古屋大学原子核工学専攻の山本一良教授の「同位体が拓く未来」が選ばれた。文科省は本プログラムに対する今年度採択分の予算を158億円としている。

「COEプログラム」は、学問分野毎に日本の大学に世界最高水準の研究教育拠点を形成、研究水準を向上させるとともに、世界をリードする創造的な人材育成を図るため、重点的な支援を行い、国際競争力のある大学づくりをめざすもの。主に研究面でポテンシャルの高い専攻等が、世界最高水準の研究教育拠点となるために必要な経費を、重点的に補助する。選考にあたっては、江崎玲於奈・芝浦工大学長を委員長とする「プログラム委員会」およびその下に設けられた総合評価部会等が評価を行っている。

東工大の関本教授のグループが提案した「世界の持続的発展を支える革新的原子力」は、エネルギー資源枯渇問題や地球環境問題を解決して世界の持続的発展を支えるためには、原子力が不可欠とし、そのためには核拡散・放射性廃棄物・安全の問題の根本的な解決が必要として、革新型原子炉と、高レベル廃棄物消滅を指向した革新的分離核変換に関して、システム概念構築と必要な基盤技術研究を行うことにより、これらの問題を解決するとしている。また、この問題での国際協力の気運が高まっており、この問題研究での世界の拠点となり、国際性を身につけた若手研究者を育成するとしている。

名古屋大学原子核工学専攻の山本一良教授のグループは、「同位体が拓く未来−同位体科学の基盤から応用まで−」のなかで、同位体分離・創製、同位体計測、および同位体材料の「基盤研究分野」、環境・生命、および文理情報の「融合展開分野」を提案。基盤研究分野については、高速で低廃棄物排出の汎用的同位体分離法の原理実証と、加速器等による新規同位体製造など、融合展開分野では、有機態炭素循環の定量的把握による環境問題への寄与などを挙げている。

このほかに、医学系では、福井医科大学高エネルギー医学研究センター米倉義晴教授の「生体画像医学の統合研究プログラム」、広島大学原爆放射線医科学研究所神谷研二教授の「放射線災害医療開発の先端的研究教育拠点」などが選ばれた。


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