[原子力産業新聞] 2003年9月4日 第2200号 <3面>

[BNFL] THORPの2010年停止を否定

 8月26日付けの英紙「ガーディアン」は、英核燃料会社(BNFL)が、セラフィールドにある使用済み燃料再処理工場THORP(=写真右側)の運転を、2010年に停止すると報じた。BNFLは「決定はされておらず、顧客の要望次第だ」と否定。同工場では2010年までの再処理契約を持っており、これらの契約は履行するとしている。

 THORPは、BNFLがセラフィールドに18億ポンド(約3300億円)の建設費をかけ、1994年から運転を開始した酸化物燃料用の再処理工場。再処理能力は年間850トンだが、約50%程度の能力で運転されてきた。

 ガーディアン紙は、THORPが既に契約した核燃料の再処理を終える2010年頃に停止、工場を閉鎖すると報じた。同工場は日本やドイツなど大口顧客を対象にしてきたが、日本では2005年に青森県六ヶ所村の再処理工場が操業開始を予定。ドイツ等も再処理政策の見直しを打ち出し、再処理の新規契約は低迷していた。同紙は、THORP閉鎖後、セラフィールドの事業の重点は、再処理から原子力施設の浄化・管理、放射性廃棄物のガラス固化などに移行するが、日本を顧客に想定しているMOX燃料製造工場(=写真左側)は操業を続ける予定としている。

 BNFLは現在、不採算部門の分離など事業、組織の大幅見直しを進めており、THORP閉鎖の話が出てきているのもその一環とみられる。セラフィールド・サイトのワトソン所長は、「BNFLは、生産会社から放射性廃棄物処分会社へと姿を変えつつある」とコメントしている。

 セラフィールド・サイトは、2005年に政府機関の原子力デコミッショニング機構(NDA)に移管されることになっており、THORP運転継続は同機構の意向と顧客の要望によるが、最終的には政府当局の承認が必要となる。

 BNFLによると、既存再処理契約が完了する2010年という日付については、以前から関係方面で話題にされていた。ごく最近では、BNFLがNGOの環境会議に全国関係者対話プログラムの一環として作成を依頼した、環境資源管理の社会・経済的報告書に取り上げられている。


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