[原子力産業新聞] 2003年9月11日 第2201号 <1面>

[文科省] 二法人統合準備会議が報告書案

 文部科学省は3日、東京・千代田区の東京會舘で第15回原子力二法人統合準備会議(=写真)を開催した。最終会合まで残すところ1回となる今会合では、秋山委員らが中心となってまとめた報告書案が発表され、委員から評価する意見が出されるとともに、材料試験炉JMTR等原子力施設の廃止や新法人における事業評価などに対する意見が出された。文科省では早急に報告書の最終案をとりまとめ、一般の意見を公募したあと、今月20日頃、最終会合を開きたい意向だ。

 報告書案は、新法人設立の基本理念を、@原子力研究開発の国際的な中核的拠点(COE)の実現A原子力安全など国の政策への貢献B安全確保の徹底と立地地域との共生C事業の整理合理化と効率化・活性化D効率的・効果的な経営・業務運営体制の構築――とし、新法人の業務としては、@原子力の基礎・基盤研究A核燃料サイクル研究開発B自らの原子力施設の廃止と放射性廃棄物の処理処分C安全規制、防災、核不拡散等への協力D人材育成E原子力情報の収集・分析・提供F研究施設の共用G成果の普及と活用――を挙げている。

 過去の準備会議での議論で焦点となった、現存する施設の廃止や廃棄物処分費用については、総費用2兆円、実施期間80年とのケーススタディを引用、現状の二法人の全事業費で5〜15%になるとし、この見積もりは定期的に見直す必要があるとしている。また、総額4兆円にのぼる二法人の累積欠損金について、新法人に引き継がれることのないよう、「法的措置により政府及び民間出資の減資を行うことが適切」としている。

 5月23日の第13回会合で廃止の方針が打ち出され、その後論議を呼んだJMTRについては、報告書本文から廃止の方針が削除されたものの、報告書添付の文科省資料には残されたため、委員からは、この資料が一人歩きするおそれがある、原研が同炉のあり方を検討する委員会を立ち上げたので結果を待ちたい、「廃止」ではなく「更新」のオプションもあり経済的だ、などの意見が寄せられた。


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