[原子力産業新聞] 2003年10月9日 第2205号 <1面>

[政府] エネルギー基本計画、閣議決定・国会報告

 政府は7日、「エネルギー基本計画」を閣議決定、同日中に国会報告した。昨年6月に策定の「エネルギー政策基本法」で明らかにされた、「安定供給の確保」、「環境への適合」、「市場原理の活用」といった基本方針に沿って進められる今後のエネルギー施策を、長期的、総合的かつ計画的に推進して行くためのもので、決定されるのは初めてのこと。

 同計画は、石油代替計画や省エネルギー対策などに取り組んできたものの、依然として安定供給が重要課題である一方、地球環境問題への対応が重要な課題として顕在化し、さらには規制改革等を通じ公正な競争を促進し、効率的なエネルギー供給システムを確保することへの要請が強まっている現在において、@エネルギー需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策A研究開発のために重点的に講ずべき施策B各種施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために必要な事項――などについて取りまとめられている。

 その中で原子力について、地球温暖化対策の面などで優れた特性を有することから「安全確保を大前提に基幹電源として推進」と、その必要性を強調。また核燃料サイクルについては「供給安定性をさらに改善するもの」と位置付け、核不拡散などを前提に「着実に取り組むことが必要」であり、当面はプルサーマルを中軸として、国民の理解を得つつ着実に推進するとしている。

 また、透明性の確保と説明責任を果たしつつ、新しい安全規制制度の下で、不正の再発防止や安全確保が確実に実施されているか、立地地域関係者に十分な説明がなされているかを聖域無く十二分に検証していく方針を明示。またバックエンドについては、2004年末までに「制度・措置を検討、必要な措置を講ずる」方針が盛り込まれている。

 基本計画は「少なくとも3年ごとに、また事情変更が生じた場合などには適時適切かつ柔軟に検討を加え、必要があると認めるときには変更する」方針も示している。(同計画の概要を10月23日号に掲載)


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