[原子力産業新聞] 2003年10月9日 第2205号 <2面>

[原子力安全・保安院] 建設中3基全てが「妥当」

 経済産業省原子力安全・保安院は9月29日、現在建設中の原子力発電所3基において、原子炉が大きく損傷するような設計基準を超える過酷事故を防止するための、運転管理手法や設備の整備方針「アクシデントマネジメント(AM)」について、すべて「妥当」とする評価結果を公表した。

 AMは、電気事業者の自主的な保安措置として整備が進められてきたもので、現在運転中の52基についての整備は昨年までに全て完了。保安院はその内容を精査し、結果を昨年10月、「軽水型原子力発電所におけるアクシデントマネジメントの整備結果について評価報告書」として公表している。

 今回発表されたのは、現在建設中の原子炉における電気事業者のAM整備方針に対する保安院の評価結果で、対象となったのは、中部電力の浜岡5号機、北陸電力の志賀2号機、東北電力の東通1号機の3基。結果、設備面での対応については、多重化された安全系設備以外の設備については、AMに活用できるよう機器の改造、追加を行うことを主な内容としており、「整備済みの既設プラントと同様」と評価。また電気事業者におけるAMの実施体制等については@実施体制・組織の明確化については、シビアアクシデント時の中央制御室の運転員を支援するための運転支援組織の確立とその役割・分担等の明確化が計画されているA手順書への反映では、あらかじめ有効かつ適切と考えられる措置の手順書類の整備が図られているBシビアアクシデント及びAMに関する教育面では、運転員及び支援組織要員等に対する教育の実施が計画されている――と、「いずれも整備済みの既設プラントと同等のものとなっている」としている。さらに「今回計画しているAM整備を確率論的安全評価(PSA)手法により評価し、これらの対策が有効であるとの確認結果が得られている」ことから、「電気事業者の整備方針は妥当である」と評価している。


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