[原子力産業新聞] 2003年10月9日 第2205号 <3面>

[英・BE社] 再建で正式合意

 経営難に陥っていた英国の原子力発電大手ブリティッシュ・エナジー(BE)社は1日、債権放棄による経営建て直しに関して、同社の大口債権者および産業貿易省と正式に合意に達したと発表。英国で原子力発電所15基・1013万キロワットを所有・運転し、同国の消費電力の約25%を供給するBEグループの破綻は、当面回避される見込みとなった(写真は同社のサイズウェルB原子力発電所)。

 BE社は昨年9月、英国の卸売り電力料金が急激に下がったため経営危機に陥り、英国政府より資金援助を受け、しのいできた。

 1日に発表された再建案は、今年2月に仮合意された内容に沿ったもので、BEグループの資金繰りの確保と長期的な生き残りを目指したもの。同案では、エンロンキャピタル、スコットランド王立銀行、英原子燃料会社(BNFL)、エグボロウ銀行等の大口債権者が、13億ポンド(約2400億円)の債権を放棄するかわりに、BE側は債権者に総額4億2500万ポンド(約780億円)の新発社債を割り当てる。また、再建後のBEグループ普通株式のうち、97.5%を譲り渡すというもの。

 一方、原子力発電所の廃炉と使用済み燃料管理を行う原子力発電廃炉基金(NLFに改名の予定)とは、2億7500万ポンド(約500億円)の新発社債を割り当て、さらに、@廃炉資金として年間2000万ポンドの支払いAサイズウェルBの使用済み燃料1トンあたり15万ポンドの支払いBBE社の年間キャッシュフローの65%以下の支払い(BE社株式で代替可能)――で合意。資金不足の場合は、産業貿易省が担保することになっている。産業貿易省はまた、BEの運転資金として2億ポンドを提供する。

 一方、大口債権者でもある米国の原子力発電専業大手エクセロンは、同社とBEが折半で出資しているアマージェン社のBE持ち分を、約2億7650万ドル(約300億円)で買い取る意向を示している。アマージェン社は、クリントン、TMI1号機、オイスタークリークの3基の原子力発電所を所有・運転している。

 英国政府によるBE社救済に対しては、欧州委員会(EC)が今年7月、EUの規定に反するとの見方を出しており、今回の再建案についても、政府援助が同規定に合致するとECから承認されることが前提条件となっている。


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