[原子力産業新聞] 2003年10月16日 第2206号 <2面>

[原子力委、市民参加懇] 「電力危機」テーマに懇談会

 原子力委員会・市民参加懇談会は14日、埼玉県さいたま市のラフレさいたまで「この夏の電力危機とは何だったのか」をテーマに市民参加懇談会inさいたまを開催した(=写真)。200名近くが参加、パネルディスカッションとともに、市民からも様々な意見が出された。

 この懇談会は、原子力政策策定プロセスにおける一般市民からの意見反映を目指して一昨年7月に設置され、今回で第6回目。

 第1部のパネルディスカッションでは、新井光雄氏(エネルギージャーナリスト)、伴英幸氏(原子力資料情報室)、樋口惠子氏(評論家)の各パネリストが見解を述べた。

 新井氏は、安定供給、経済性、環境対応とともに消費地と生産地の関係をはじめエネルギー問題が抱える社会性について考えることが益々重要になってきた、と提言。伴氏は、全ての原子力発電所を総点検するため、今夏は原子力無しで乗り切ろうと主張してきた。今回の危機は創られたものでは、との疑念をもつが、省エネの意識向上には効果があった、と指摘。樋口氏は、高齢化社会にとって停電は命にかかわる問題だが、今回は本当に危機だったのかという思いもある。原子力は安全と言うのではなく、危険だけれども必要だから使うという言い方に直すべき、と指摘した。創られた危機との指摘に対しては、出席した東京電力、資源エネルギー庁が実態を説明し、理解を求めた。

 第2部の市民からの意見では、建物の省エネで新技術導入を促進すべき、電気をムダ使いする生活を改めるべき、電力会社幹部は現場の思いを理解すべき、設備老朽化への対応が重要、危機に対してより判りやすい説明が必要、など様々な意見が出された。


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