[原子力産業新聞] 2003年10月16日 第2206号 <2面>

[東京電力] 内部告発の元GE社員が会見

【9日共同】東京電力の原子力発電所トラブル隠し発覚のきっかけとなる内部告発をした米ゼネラル・エレクトリック(GE)社元技術者のケイ・スガオカさん(51)が9日、福島県庁で記者会見した。スガオカさんは内部告発の動機について「(不正を隠そうとした)GEの管理部門の不誠実さに尽きる」と強調、告発が東電社長の辞任や原子力発電所全基停止に発展するとは予想しなかったことを明らかにした。

 米国人(日系3世)のスガオカさんは1973年、GEに入社。98年に解雇されるまでGEが一部の原子炉製造に関与した東電福島第一原子力発電所などで原子炉の保守点検を担当した。89年に第一原子力発電所1号機で、蒸気乾燥器が180度反対向きに設置されているのを見つけ進言したが、「上司は耳を貸さなかった。本来は東電ではなくGEが(修正作業を)やるべきだった」と指摘した。

 スガオカさんは2000年6月、2件の不正を通産省(当時)に告発。通産省が不正を約2年間公表せず、告発者の名前を東電に伝えたことに「驚いていない。そういうこともあると思い、市民グループにも告発した」と述べた。

 トラブル隠し発覚から1年余りが過ぎての初来日に「発覚当時は問題が大きくなって怖かった。正しいことをやったが(結果的に)職を失った人たちに申し訳ない」と話した。

 スガオカさんは会見に先立ち、福島県庁で佐藤栄佐久知事を表敬訪問。佐藤知事は「どういう点で問題提起したかは別として(告発は日本の原子力に)非常に大きな意味を持った」と述べた。


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