[原子力産業新聞] 2003年10月16日 第2206号 <3面>

[オランダ・COVRA] 高レベ ル貯蔵施設が運開

 オランダ政府は9月30日、高レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設(HABOG)の開所式を行い、ベアトリクス女王の臨席のもと、最初の高レベル廃棄物が貯蔵された。同施設はその斬新なデザイン(=写真)でも話題を呼んでいるが、再処理後のガラス固化体が、最終処分場が決まるまで、最長100年間貯蔵されることになっている。

 HABOGは、オランダ北部フリッシンゲンで運転中のボルセラ原子力発電所(48万キロワット・PWR)サイト近郊にある中央放射性廃棄物貯蔵機関(COVRA)敷地内に建設された。同サイトでは、低・中レベル放射性廃棄物を処理・貯蔵する施設が運転中。

 今回操業を開始したHABOGは、閉鎖済みのドーデバルド原子力発電所(5.8万キロワット・BWR)と運転中のボルセラ原子力発電所の使用済み燃料から出る高レベル廃棄物を貯蔵する。オランダは再処理路線を取っており、これらの発電所からの使用済み燃料は、英原子燃料会社(BNFL)のセラフィールド再処理工場と仏コジェマ社のラ・アーグ再処理工場に送られている。HABOGにはまた、国内の2基の研究炉の使用済み燃料も貯蔵されることになっている。

 HABOGは、W・ファルストラエテン氏による大胆なデザインを取り入れた。建物全体はオレンジ色に塗られ、緑色の大文字でアインシュタインの方程式E=mc2などが描かれている。ファルストラエテン氏は、「HABOGを芸術作品に『変容』させた」として、同施設でこれから100年間、高レベル廃棄物を貯蔵することから、この「作品」を「メタモルフォーゼ・2003−2103」と題している。


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