[原子力産業新聞] 2003年10月23日 第2207号 <3面>

[フィンランド・TVO] フィンランドTVO

 フィンランドの電力会社ティオリスーデン・ボイマ・オイ(TVO)は、16日、フィンランドで5基目の原子力発電所を同国西海岸のオルキルオトに建設することを決めた。同社はまた、供給者の第一候補として仏アレバ率いるフラマトムとジーメンスの仏独連合を選び、炉型として欧州加圧水型炉(EPR、160万キロワット)を選択、EPRは今回が初の受注となる。また、西欧での原子力発電所の新規発注は、1993年の仏シボー2号機以来、10年ぶりとなる。

 TVOは2000年11月、フィンランド政府に対して第五原子力発電所建設の決定を求め、政府は2002年1月、建設計画を承認、同年5月には議会が僅差でこの計画を承認していた。原子力発電所の増設については90年代初期から検討されていたが、93年に議会が僅差でこれを否決する事態もあり、10年越しの懸案となっていた。

 2002年5月の議会での承認を受け、TVOは昨年9月、100〜160万キロワット級の軽水炉で原子炉メーカー各社に入札を招請した。

 応札したメーカー筋によると、2003年3月末までに、フラマトム・ジーメンス連合のほかに、ロシアのアトムストロイエクスポルト(ASE)、米GEの3社が応札した。フラマトム・ジーメンスはEPRのほかに、受動的BWRのSWR1000を提案。ASEは中国に輸出実績のあるVVER91/99、GEは日本や台湾で実績のあるABWRで応札した。AP1000での入札が噂されていたウェスチングハウス(WH)は結局応札しなかった。

 建設サイトについてTVOのM・パーボラ社長は、「現在原子力発電所が稼働中のオルキルオト、ロビーサ両サイトとも、新ユニット建設に適している」としながらも、「オルキルオトの方がわずかに勝っている」と述べ、今後はオルキルオトでの設計等に力を注いでいくと説明した。現在、オルキルオトではアセア・アトム社製の87万キロワット・BWRが2基、ロビーサではロシア製の51万キロワット・PWRが2基がそれぞれ運転を行っており、両地元自治体とも、2001年4月に5号機建設の受入れを決めている。また、フィンランド議会は2001年5月、オルキルオトに使用済み燃料の最終処分場建設を承認している。

 仏筋によると、今回、建設・運転実績が全くないEPRが選ばれたのは、@出力が160万キロワットと最大であり、原子力発電所の増設が容易でないフィンランドにとって魅力的A仏政府が最近、国内でのEPR建設に前向きな姿勢を見せている――などが考えられるという。

 N・フォンテーヌ仏産業担当相は8日、仏原子力学会の会合で、仏政府が同国内でのEPR実証炉の建設を強く支持する発言を行い、注目を集めていた。

 TVOは供給者についてこれが最終決定ではなく、「他の供給者が除外されたわけではない」としているが、同社としては今年中にフラマトム・ジーメンス両社との交渉を終え、できるだけ早期にフィンランド政府に建設許可を申請、2009年には第5号機の商業運転を開始したい意向だ。EPR採用が決まった場合、一次系はフラマトムが供給、二次系はジーメンスが供給する予定。


Copyright (C) 2003 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.