[原子力産業新聞] 2003年10月30日 第2208号 <1面>

[文科省] 「もんじゅシンポ in 敦賀」開く

 文部科学省は、25日、福井県敦賀市の若狭湾エネルギー研究センターで「『もんじゅ』のシンポジウムin敦賀」を開催した(=写真)。約300名が出席、市民参加者からは安全確保を前提に次の世代に継承するエネルギー技術として、早期に再起動させるべき、との意見が多く出された。

 冒頭、文部科学省の坂田東一研究開発局長は「国は最高裁に上訴中だが、地元市民との対話の機会を増やして欲しいとの要望も強く、先月の福井市に続く開催になった」と挨拶。

 続いて元大阪大学講師の久米三四郎氏とエネルギー政策研究所所長の神田啓治氏が講演。久米氏は、行政は高裁判決から学び、最高裁の最終判断を待つべきであり、もんじゅが必要なのか十分な再検討が必要、と主張。神田氏は、原子力エネルギーがプルトニウム利用によって、今世紀後半から本当に大事になり、今、もんじゅの技術を継承し育てなければならない、と主張した。

 4名のパネリストからは、研究開発を否定しないが高裁判決を重視し、巨額の税金も必要なことから再考すべき(小木曽美和子・原子力発電に反対する福井県民会議事務局長)、安全性には慎重でなければならないが、若い人の時代を考えると、今進める必要がある(住田健二・大阪大学名誉教授)、もんじゅは我が国の重要な財産であり、速やかに改造し将来の道を拓いて欲しい(永井悦子・ナチュラルコンサルタント取締役福井支店長)、原子力は敦賀半島に集中し過ぎており、原子力に頼らない町づくりが必要(吉村清・高速増殖炉など建設に反対する敦賀市民の会代表委員)などの意見が述べられた。

 会場からも、原子力は地場産業でありもんじゅも誇りである、国は上訴について強いメッセージを地元に送るべき、安全面と財政面を考え中止すべきなど、様々な意見・要望が出されたが、全体としては安全確保を前提に可能な限り早期に改造し再起動すべきとの意見・要望が多く出された。

 柳澤努・核燃料サイクル開発機構理事・敦賀本部長代理は、8年間検討を重ねており、現在も粛々と改造工事の準備を進めていると述べた。


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