[原子力産業新聞] 2003年10月30日 第2208号 <2面>

[シリーズ] マニフェストを読む(下)

 自民党は、昨今の東電事件等について、「これまで推進してきた国及び事業者による原子力への取組みを一朝にして崩壊させるような、今後二度とあってはならない重大事案」とし、関係者の猛省を促すとともに再発防止策など、地元・国民の信頼回復に向け、全力で取り組むとする。原子力安全については、「安全審査・保安体制等の原子力安全対策の抜本的な強化」を唱えるが、具体策は示されていない。地球環境問題については、京都議定書の6%削減約束を達成するため、新エネルギー開発とともに、クリーン開発メカニズム事業や共同実施事業を支援するとしている。原子力発電と核燃料サイクルについても、「エネルギー安定供給と地球温暖化防止の観点」から重要との記述。

 民主党のマニフェストは、「安全を最優先し原子力行政の厳格な監視」を進めるとの立場から、「安全規制機関を経済産業省から切り離して、内閣府に独立した行政機関を新たに設置し、強力かつ一元的なチェック体制」を築くとする。2005年に法案を国会提出、2006年度より施行をめざすとの具体的な日程も。温暖化防止については、二酸化炭素の発生源に、炭素1トンあたり3000円程度の『環境税』を創設。また、初年度に約1000億円、4年後には2500億円の予算をかけ10年間で1000万ヘクタールの森林を再生―「緑のダム」を作るとする。

 公明党のマニフェストは温暖化防止について、家庭用の「新エネルギーを拡充」、公用地の自然緑地義務付け化や屋上緑化、ヒートアイランド(都市の温暖化)対策など「ミクロ」の対策に留まっている。

 共産党は、原子力安全に関して「安全が危ぶまれる原発については、運転停止を含めた必要な措置」と抽象的な表記。地球環境についても、問題解決につながる具体策に乏しい。

 「脱原発」を唱える社民党は、原子力安全への取組みの記述はない。地球温暖化問題については、脱化石燃料、産業界に二酸化炭素削減義務づけ、炭素税の導入、交通体系の見直しなど。

 保守新党は原子力安全について、「ライフラインの確保」の一環として「原子力施設の総点検を行い、安全確保に万全を期す」との表現だ。


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