[原子力産業新聞] 2003年11月6日 第2209号 <3面>

[米・NEI] 国民の60%「原子力支持」

 米原子力エネルギー協会(NEI)は、10月3〜5日に全米1000名の成人を対象として行った、原子力発電に関する世論調査の結果を発表した。これによると、原子力発電を「強く支持」または「支持」と答えた人は60%と、「不支持」の36%を大きく上回り、5月調査時の64%に続く高い支持率となった(=グラフ参照)。この調査が始まった1983年には、原子力への支持が49%、不支持の46%と賛否が拮抗していた。

 この世論調査は、NEIの委託を受けて、ビスコンティ研究所とローパーASW社が電話による聞き取りで行ったもの。

 調査に対して、原子力発電所新設のオプションを保持すべきと答えた人は70%(今年5月は65%)、原子力発電が将来の米国のエネルギー供給で重要な役割を果たすべきと答えた人は71%にのぼった。

 また、新規発電施設が必要な場合、自分の家から最も近い既存の原子力発電所に、新たな原子炉の増設を認めると答えた人が54%(5月調査では48%)に増加、認めないと答えた人は41%だった。また、54%が米国で原子力発電所の新設が「絶対に」必要と答え、これも4ポイントのアップ。原子力発電所運転認可延長への支持も83%にのぼった。

 NEIによると、今調査は8月14日に起こった北米大停電の影響を強く受けており、発電所新設への支持が強く打ち出された。特に大停電の影響を強く受けた米北東部では、最も近い原子力発電所に増設を認めると答えた人が、5月の40%から58%へ増加、中西部でも55%から66%へ急増した。

 米国で話題になっている原子力発電所のセキュリティに関しても世論調査が行われた。原子力発電所、ダム、化学プラント、天然ガス・パイプラインと貯蔵施設、港湾施設の5種類の施設から、最も「強固」な施設として、原子力発電所が31%でトップ。テロ攻撃に対して「最も対策が進んでいる」施設としても、原子力発電所がトップの66%。テロ対策に関して米国民が、原子力施設に比較的信頼を寄せていることが明らかになった。


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