[原子力産業新聞] 2003年11月13日 第2210号 <2面>

[原子力安全委専門部会] RI廃棄物処分で「考え方」

 原子力安全委員会の原子力安全総合専門部会(部会長=矢川元基東京大学大学院教授)は、「放射性同位元素(RI)使用施設等から発生する放射性固体廃棄物の浅地中処分処理の安全規制に関する基本的考え方」について取りまとめ、6日の原子力安全委員会に報告した。RI廃棄物処分に関する安全規制は、基本的に原子力発電所からの低レベル廃棄物の浅地中処分と同様の考え方が適用できるとしている。

 RI廃棄物は2002年度末現在で、合計23.5万本(200リットルドラム缶換算)にのぼり、発生事業所等で処理・保管され、最終的な処分は行われていないが、保管余裕は少なくなっている。一方、文部科学省では、RI廃棄物の埋設処分事業の推進に向けた検討とともに、RI廃棄物の埋設処分に係わる規制を放射線障害防止法に追加する検討が行われている。原子力安全委員会ではRI廃棄物の浅地中への埋設処分の安全規制について検討し、今回の取りまとめを行った。

 RI廃棄物は、原子力発電所からの低レベル放射性廃棄物と比較した場合、使用済み密封線源等の放射能濃度の高いものを除くと、主要核種は共通するものが多く、半減期等も同様であることが判明。したがって、安全規制の基本的考え方は、原子力発電所からの低レベル廃棄物の浅地中処分と同様の考え方が適用できるとしている。

 また、RI廃棄物は、埋設処分にあたり最終的処分方法に応じた廃棄体とされるが、想定される平均放射能濃度を試算したところ、炭素14、トリチウムおよびストロンチウム90を除く全ての放射性核種について、コンクリートピット等の人工構築物を設置しない浅地中の廃棄物埋設施設(トレンチ)に埋設処分できる原子炉廃棄物の放射能濃度の計算値を下回るレベルであることが分かった。ストロンチウム90を含むRI廃棄物は容器毎に管理されていることから、分別管理が可能。炭素14やトリチウムなどの揮発性核種は処理を行った後、一部は気体廃棄物として必要な管理のもとに環境に放出されると推定される。したがって、ほとんどの廃棄体の放射能濃度はトレンチ処分相当の濃度を下回り、トレンチに埋設処分できると考えられる。

 なお、使用済み密封線源等の放射能濃度の高いRI廃棄物は、余裕深度処分で処分する可能性が考えられ、本件の検討対象にならないとしている。


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