[原子力産業新聞] 2003年11月13日 第2210号 <3面>

[東京電力] 異物混入で原因・再発防止策を発表

 東京電力は7日、原子力発電所の圧力抑制室から異物が発見された問題に関連し、異物混入の原因及び、再発防止策を発表した。

 同問題は、同社の福島第一原子力発電所1、2、4、6号機、同第二原子力発電所2、3、4号機、柏崎刈羽原子力発電所1、2、3、5、7号機の圧力抑制室内から、工具類(電動グラインダ、スパナ等7点)、機材類(足場材、懐中電灯等13点)、消耗品(ビニール袋等1008点)、その他(金属サビ等66点)が発見・回収されたもので、今年9月に福島第一・2号機圧力抑制室内から針金が発見されたことから、東電では停止中の前記プラントについて点検を実施。今月上旬までに回収を終えていた。

 異物が混入した原因について、東電では混入ルートとして圧力抑制室内の工事の際に落下した事などを挙げ、工具・機材類については、持ち込み持ち出しの員数管理、消耗品の廃棄管理が不十分であったことなどとしている。

 また再発防止策としては、異物を混入させない対策、作業に使用した物品を確実に持ち出す対策、認識の徹底、異物管理の強化、作業環境の改善、最終確認の実施を列挙。

また、次回定期検査以降の対策として、@定期検査時に圧力抑制室プール水の浄化を実施A定期検査毎に圧力抑制室内の水中確認および異物回収を実施、その際、非常用炉心冷却水計の吸い込みストレーナの目視点検の実施B圧力抑制室およびドライウェル内に仮設照明を追設することなどにより、異物を発見しやすくする――ことを挙げている。

 なお東電では、今回の異物混入について、「非常用炉心冷却系ポンプの吸入部にはストレーナ(金網)が設置されており、大きな異物は吸い込まれずポンプは破損しない」「非常用炉心冷却系が作動した場合、これまで発見された大きさの異物がたとえストレーナに吸着しても、事故時に期待される炉心冷却機能は確保される」ことなどから、安全上の問題はないとしている。


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