[原子力産業新聞] 2003年11月20日 第2211号 <1面>

[経産省・資源エネ庁] 東電東通1・2で1次公開ヒア

 経済産業省・資源エネルギー庁は19日、青森県東通村の東通村体育館で、東京電力の東通原子力発電所1・2号機立地に係わる第1次公開ヒアリングを開催した。昨年2月に行われた日本原子力発電・敦賀発電所以来の1次ヒアとなった今回は、会場周辺などで大きな抗議活動が行われることもなく、議事は平穏に進行した。今回、第1次公開ヒアが無事終了したことにより、東電の東通1・2号機建設計画は、実現に向け大きな一歩を踏み出したことになる。

 時おり雨は降るものの、初冬の下北半島とは思えぬ温暖な気候のもと、ヒアリングは定刻通りに開始した。今回のヒアでは、意見発表希望者15名が、それぞれの立場から意見を陳述。会場に詰めかけた266名の参加者は、熱心に聴き入っていた。

 陳述では防災対策、地震対策、トラブル関連についての質問に加え、発電所のテロ対策といった昨今の情勢を反映した質問も出されたが、中でも地域振興に対する質問が多くを占めた。これらについて東電側は、発電所の立地により電源三法交付金や固定資産税などの増収が見込まれることを説明したほか、東電としても地元雇用や生活物資の調達、資機材・工事の発注などの面で出来るだけ地元活用に配慮し、地域の一員として発展に努めていく方針であることを協調した。

 一方で、今回は東電不祥事に関連して、事業者である東電に対する不信を訴える意見も出されたが、それらに対し東電は、不祥事の発覚以来、関連会社も含めて情報公開と透明性確保、原子力部門の社内監査の強化、企業風土の改革などといった再発防止策に全社を挙げて取り組んでいるところであり、今後もより一層努力をしていく方針であることを説明、理解を求めた。

 東通1・2号機は、ともにABWRで、出力138万5000キロワット。2005年度着工、1号機は2011年度、2号機は同年度以降の運開を予定している。


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