[原子力産業新聞] 2003年11月20日 第2211号 <1面>

[文科省] 北京でITER政府間協議

 文部科学省は今月9日と10日に北京で開催された国際熱核融合実験炉(ITER)の第9回政府間協議の内容について、18日開催の原子力委員会に報告した。それによると本年中にサイトの建設地および各国の費用負担を決定することを確認するとともに、知的所有権、建設時の組織などについても大枠で合意した。

 両日の協議には日本、EU、ロシア、カナダ、米国、中国、韓国の7か国・地域が参加。今年6月にITER計画に正式参加した韓国にとっては最初の政府間協議となった。日本からは代表である文科省の結城章夫文部科学審議官をはじめ6名が出席。

 今回の政府間協議では知的所有権の取扱いの考え方についての大枠とともに、主要な機器の各国の調達配分と調達を実施する枠組みの原則と指針についても合意。また、建設時の組織「ITER国際核融合エネルギー機構」の主要な部分についても合意したが、運転時の組織に関しては機構長候補者の選定を待って議論するという。さらに廃止措置の原則と指針についても合意し、各候補サイトについて廃止措置に必要な費用の上限値を提出することになった。

 ITER計画の候補サイトは日本、スペイン、フランス、カナダの4か所。EUはスペイン、フランス両候補地を1本化する計画だが、この決定は今年五月以降延期され続けており、今月27日に開催予定の競争力相理事会では決定するとしている。カナダは当初のカナダ提案を見直し、政府が費用負担するとしているが、現段階では正式に決定していない。カナダとしては、自国が決定に至っていないことでサイト選定を妨げる意図はないとしており、一部ではサイト誘致を諦めかけているのでは、との見方もある。


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