[原子力産業新聞] 2003年11月20日 第2211号 <4面>

[原子力安全・保安院] 原子炉に3段階の「格付け」

 経済産業省の原子力安全・保安院は、原子力発電設備の品質保証体制を原子炉ごとに3段階に評定(格付け)する「定期安全管理審査制度」の新設について、13日、原子力安全委員会に報告した。

 この審査制度は、電気事業者が行う定期事業者検査の実施に係わる組織、検査の方法、工程の管理、検査に係わる教育訓練など、品質保証が適切かどうか審査するもの。原子力安全基盤機構の検査チーム(チーム長以下5名で構成)の審査員が行う。定期事業者検査は、10月1日施行の改正電気事業法により、自主点検が新たに国の検査対象となったもので、事業者が原子力発電設備を定期的に検査し、検査結果の記録・保存が義務付けられている。

 具体的な審査は、日本電気協会電気技術規定「原子力発電所における安全のための品質保証規定」および「原子力発電所の保守管理規定」を満たしているかどうかについて行い、検査項目はPWRで134項目、BWRで157項目に上る。

 審査結果に基づき、経済産業大臣は原子炉ごとに、A、B、Cの3段階で評定。「A」は検査項目に不適合事項がなく、品質マネジメントシステムが機能している、「B」は軽微な不適合事項はあるが品質マネジメントシステムは機能している、「C」は重大な不適合事項があり、品質マネジメントシステムが機能していない、との区分。

 この評定に応じて、次回の定期安全管理審査の実施項目を増減させるなどのインセンティブを与え、定期事業者検査の信頼性・透明性を確保するとともに、事業者の安全確保への自主性を高めることをねらう。

 審査は、電気事業者による原子力安全基盤機構への申請で始まり、文書審査、実地検査、審査報告書作成、評定等のプロセスで進められる。12月に安全管理審査を予定する関西電力高浜3号機、九州電力玄海4号機がすでに申請済みで、本制度適用の初のケースとなる。


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