[原子力産業新聞] 2003年11月27日 第2212号 <1面>

[総合資源エネ調・保安部会小委] クリアランス制度 来夏メドにとりまとめ

 総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の廃棄物安全小委員会(委員長=石槫顕吉・埼玉工業大学先端科学研究所教授)は20日、第7回会合を開き、原子炉施設におけるクリアランス制度の整備、高レベル放射性廃棄物処分の安全規制制度の法制化などについて、当面の検討課題と日程を取りまとめた。クリアランス制度については、今後、国際的な動向も踏まえた制度の在り方や検認の技術的事項などの検討を重ね、来年夏頃を目途に報告書をまとめる計画。

 クリアランス制度は、人の健康に対するリスクが無視できるレベルの放射性物質について放射線防護上の規制を解除するもの。国際放射線防護委員会などが提案する年間10マイクロシーベルトの放射線量を目安値とし、これを放射線核種の濃度に換算してクリアランスレベルを示す。すでに独、仏などが制度化しているほか、仏は原子力施設の区域による区分を実施、米国は個別審査の方法を取り入れている。

 わが国でも原子力安全委員会が、各種原子炉施設におけるクリアランスレベル、検認の在り方を提示しており、廃棄物安全小委員会では具体的な制度の在り方を諸外国の動向などを踏まえて検討中。また、同小委員会の下に設けられた低レベル放射性廃棄物等安全WGでは@測定方法として、バックグラウンドの測定、測定器、アルファ核種の測定、廃棄物の測定単位とサンプリング密度などA基準値の評価方法として、放射性濃度の換算、放射性核種組成比、平均放射濃度――などを検討中。来年春頃には同小委員会に中間報告する予定。

 一方、高レベル放射性廃棄物処分に関しては、安全規制制度の法制化について規制制度WG、安全規制の内容について地層処分技術WGがそれぞれ検討中。

 規制制度WGでは、処分場選定プロセスや建設から事業廃止までにおける安全規制の関与の在り方、事業者の経理的・技術的能力、原子力損害賠償などについて来年夏頃を目途に同小委員会に中間報告の予定。また、地層処分WGは安全評価の判断基準、評価期間などについて同じ時期に中間報告する予定。


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