[原子力産業新聞] 2003年11月27日 第2212号 <3面>

[IAEA] イラン核問題で決議案採択へ

 国際原子力機関(IAEA)は、20日からイランの保障措置違反問題を中心に理事会を開催した。週末の非公式会合をはさんで26日に理事会を再招集、イランの保障措置協定違反を強く非難し、将来再び違反した場合は安保理付託を強く示唆する決議案を、全会一致で可決した。

 この決議は英国、フランス、ドイツが中心にまとめたもので、イランがIAEA保障措置のかからない未申告施設でウラン濃縮やプルトニウム分離を行っていたことに「最も深い懸念」を表明、またイランが長期間にわたり保障措置協定の義務に違反して核物質や利用施設をIAEAに申告しなかったことに「深い懸念」を示した。理事会はこれらの違反に「強い遺憾の意」を表明し、イランが保障措置協定の「文言と精神」を守るよう求めた。

 イランに対しては、また、早期に追加議定書を批准するよう求め、それまでの期間も同議定書に沿った保障措置を行うよう求めている。この上で、将来再びイランが重大な違反を起こした場合、理事会を直ちに招集し、IAEA憲章と保障措置協定で「可能な限りの全ての措置」を取るとし、安保理への付託を強く示唆した。またIAEA事務局長に対しては、来年2月中旬までに包括的な報告書を作成するよう求め、3月理事会で再び検討するとした。

 20日、理事会冒頭での演説でエルバラダイ事務局長は、イランで「長年にわたり、核物質や施設、活動などを意図的に隠蔽する努力が行われてきた」とし、「イランが保障措置協定に数多くの違反を犯してきた」とイランの保障措置協定違反に言及。しかし、「申告されていない過去の活動が核兵器計画につながるものとの証拠は得られなかった」と結論づけた。


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