[原子力産業新聞] 2003年12月4日 第2213号 <1面>

[原産等5団体] RI放射線フォーラム開く

 日本原子力産業会議が日本アイソトープ協会、日本原子力学会、放射線プロセスシンポジウム、放射線利用振興協会と共催する「アイソトープ・放射線利用フォーラム(第24回日本アイソトープ・放射線会議と第10回放射線プロセスシンポジウムの合同開催=写真)」が3日、東京・江東区の江戸東京博物館で開幕した。

 「その知られざる魅力と限りない可能性」をテーマに開かれた同会議には、3か国・2国際機関を含め、約450名が参加。放射線利用や最新の技術動向、加速器利用などについて、幅広い観点から講演や議論が行われた。

 冒頭の開会セッションで挨拶を行った、同フォーラム準備委員長を務めた田畑米穂東京大学名誉教授は、医療技術や、新素材開発などといった応用分野、さらには生物、化学、物理などの基礎研究および生命化学分野ほか非常に広範にわたり利用されるなど、発見からわずか100年あまりの短期間に飛躍的な発展を遂げたアイソトープ・放射線利用について、「今後ますます高度な利用が世界的に進展していくものと確信している」と、その可能性の高さを強調。しかし一方で、一般社会では十分理解されておらず、誤解などにより普及が妨げられている面を挙げ、「関係者の活発な情報交流を図ると同時に、一般社会へ向けた情報提供を通じて理解の促進を進めることが重要。そのことが原子力発電を含む広い意味での放射線利用分野の振興、拡大につながると思う」とした。

 引き続き、アイソトープ・放射線利用と社会についての講演を行った鳥井弘之東京工業大学教授は、専門家と社会の健全な相互作用で発展する技術を「社会の技術」と位置付け、携わる人の信頼性が工学の原点であるにも係わらず、科学技術に対する必要性の喪失や専門家不祥事により、それが揺らいでいると問題を提起。信頼回復に必要なものとして、安心感の醸成、専門家集団と社会規範の整合化を掲げた。

 同教授は一方で、@昔から放射性物質を研究した学者は早死にしているA核兵器開発に伴う隠ぺい工作が行われたことがある――ことを、放射線および放射能の「特殊事情」と述べるとともに、隠蔽の影響や原子力関係者の閉鎖性が、社会にとって不安なものと認識されがちな一因となっているとして、原子力およびアイソトープ・放射線利用業界は、「社会規範への整合化が、強く必要」と強調した。


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