[原子力産業新聞] 2003年12月4日 第2213号 <3面>

[EU] 欧州のITER候補サイト 仏カダラシュに1本化

 欧州の国際熱核融合実験炉(ITER、=断面図)候補サイトの1本化を検討していたEUは、11月26日の閣僚会議において、フランスのカダラシュに1本化することを全会一致で決定した。これを受けて、ITERサイトは今年末までの政府間協議で、フランス・カダラシュ、日本(六ヶ所村)、カナダ(クラリントン)の中から、1か所が選ばれることとなる。

 EUによるサイト1本化は、今年5月以来延期され続けており、このままではITER全体のスケジュールが危うくなるとの懸念が出されていた。今回のサイト1本化は、26日開催のEUの競争力相理事会が、カダラシュがスペインのバンデロスより優れているとして決定したもの。交換条件として、スペインにITER欧州本部を置くことも決まった。この本部は、プロジェクトの調整、機器等の購入契約やその他の行政事務を行う機能を持つ。

 スペインのアスナール首相は、閣僚理事会近くになって、スペインのITER分担金を、現在の4億5000万ユーロから9億ユーロへ倍増する提案を行ったが、不調の結果となった。一方、資金難から脱落の噂も立っているカナダだが、同国の天然資源省はこの観測を否定している。

 EU委員会のP・ビュスカン科学・研究開発担当委員は、全会一致での決定を歓迎、「ITERは人類が地上で太陽のエネルギーを制御することを可能にする。太陽は欧州に昇る」と強気の姿勢を示している。

 今後、12月4日からウィーンで政府間協議が開かれ、19日からワシントンで開かれる閣僚級会合を経て、年末までにITERの立地地点が決まる。


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