[原子力産業新聞] 2003年12月4日 第2213号 <3面>

[米・上院] 包括エネ法案が越年

 米議会下院は11月18日、246対180票で包括エネルギー法案を可決したが、11月21日、上院で出された同法案の討議終結動議が失敗に終わり、同法案が再度、上院で審議されるのは年明けになる見込みだ。

 1100ページに及ぶ包括エネルギー法案には、プライスアンダーソン法の20年間の延長、原子力セキュリティの強化、廃炉税基金の規則改正、新規原子力発電所建設を促進するため改良型原子炉建設への1キロワット時あたり1.8セントの税額控除、水素を生産する改良型原子炉の建設など、原子力関連の条項が含まれている。産業界は、同法案を高く評価しており、来年の同法案の成立に向けて協力する。

 この法案はエネルギー産業界に対する様々な支援措置を盛り込んでいたが、上院で最も議論が集中したのは、環境汚染が問題になっているガソリン添加剤MTBEの製造物責任を巡る文言だった。

 昨年の連邦議会では、ブッシュ大統領が2001年5月に発表した「国家エネ政策」を具体化する法案が下院を通過したものの、上院案との調整がつかず廃案。今議会では8月の北米大停電を受け、早期成立への機運が高まっていた。エイブラハムDOE長官は、電力網の信頼性向上と、海外へのエネルギー依存度も減らすために、この法案通過が必要と強調している。


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