[原子力産業新聞] 2004年1月15日 第2218号 <2面>

[東電] 高級カレイの養殖に成功 福島第一で温排水利用して

【12月27日共同】東京電力の福島第一原子力発電所がある福島県大熊町の町水産振興公社(社長志賀秀朗町長)は、原子力発電所で温められた海水を使い、希少な高級魚「ホシガレイ」の養殖に成功した。年明けから販売する予定。公社は「食べた人が味に満足して喜んでくれたらうれしい」と期待している。

 公社によると、ホシガレイの成魚は最大で体長70〜80センチメートル、7〜8キログラム。東北から九州沿岸に生息しているが、数が少なく漁獲高は年間数トン。育てるのが難しく、カレイに比べ成長に2倍ほどの時間がかかり採算が合わないなどの理由であまり養殖されてなかった。

 公社によると、温海水を利用し1年を通じて海水を適温に保てるため、稚魚の成長が速い。体長約5センチメートルの稚魚が2年で約40センチメートル、約1キログラムに成長するという。天然魚は浜値で1キロ1万〜2万円で取引されているが、養殖魚は1キログラム4500円程度で販売するという。

 公社は現在、岩手県釜石市の第3セクターから稚魚を購入しているが、もともと数が少ないため安定的に確保することが困難。今後は稚魚の安定確保が課題だ。

 公社は1995年、町や東電などが出資して設立。温海水を利用してヒラメやカレイを養殖、販売してきた。昨年は高級カレイ「マツカワ」の養殖に成功している。


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