[原子力産業新聞] 2004年1月22日 第2219号 <1面>

[総合資源エネ調査会コスト等検討小委] 報告書まとめ 電気事業分科会に答申へ

 総合資源エネルギー調査会のコスト等検討小委員会(近藤駿介委員長)は16日、最終回合となる第9回会合を開き、23日に開かれる電気事業分科会へ提出する報告書案を検討した。同報告書は12月25日の前会合で示された「骨子」をベースに、電事連から本小委員会に提出されたデータや、委員からのコメントを取り入れて作成したもの。(報告書骨子を29日号にて詳報の予定)

 報告書は、バックエンド事業のコスト構造と、原子力発電全体の収益性の分析・評価の二部分からなる。報告書は18兆8000億円のバックエンド総事業費のうち、「再処理事業費用は、約11兆円と他の事業に比して大きい」とし、再処理事業費用のうち、9.5兆円が操業費用であり、操業初期の15年間は償却費が大きく、16年目以降は保守運転費、中でも点検保守費が大きな割合を占めるとしている。

 原子力発電コストに占めるサイクルコストは、割引率3%で、発電電力量1キロワットあたり、フロントエンドが0.66円、バックエンドが0.81円、合計で1.47円としている。

 原子力発電コストについては、出力118万〜136万キロワットのモデルプラントで試算した電事連の見積もりから「原子力発電全体の収益性等の分析・評価としては、他の電源との比較において遜色はないという従来の評価を変えるような事態は生じていない」と結論づけた。割引率3%で利用率80%の場合、原子力発電5.3円/キロワット時と最も安く、次いで石炭火力の5.7円、LNG火力6.2円、石油火力10.7円、一般水力(利用率45%)11.9円としている。

 小委員会での検討を終了するにあたって、寺坂信昭電力・ガス事業部長が挨拶、「3か月という短い期間で、一定の前提という制約の下、難しい作業だった」とふり返り、検討結果を23日の電気事業分科会に報告、官民の役割分担や経済的措置等の制度検討のベースにしたいと述べた。


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