[原子力産業新聞] 2004年1月22日 第2219号 <6面>

[原産] 原子力産業 実態調査概要まとまる

日本原子力産業会議は15日、2002年度の原子力産業実態調査(概要)を取りまとめ発表した。それによると、当該年度では商社による原子力関係取扱い高が、国内取扱い高を中心に対前年度比35.1%の大幅増をマークしたものの、電気事業における原子力関係総支出高は、対前年度比13.5%減の1兆8034億円にとどまり、3年ぶりに対前年度比マイナスとなったほか、鉱工業の総売上高、総支出高、受注残高についても減少した実態が明らかになった。

 同調査は、原産が1959年から定期的に実施しているもので、わが国における原子力産業の経済面の実態を把握し、その問題点の分析を通じて、産業としての健全な発展に役立てることが主な目的。今回調査の対象となったのは、2002年度に原子力関係の売り上げ、支出、従事業を有するなど何らかの実績のあった電気事業11社、鉱工業318社、商社27社の計356社で、調査はこれらに対するアンケートに基づき取りまとめられている。

 調査結果のポイントを具体的に見ると、わが国における原子力発電所の建設機会減少の影響が顕著に表れるとされる鉱工業の原子力関係売上高が、2002年度では1兆4980億円と、1988年度以来14年ぶりに1兆5000億円を下回ったことが明らかになった。特に中核とも言える「原子炉機材」部門の落ち込みが顕著で、93年度の1兆1306億円をピークに大きく減少し、98年からは5年連続で5000億円を下回っている(=図1)。加えて97年度の9314億円を底に、4年間1兆円を超えていた同部門の受注残高も、2002年度では9716億円となっている。また将来の売上見込み高を業種別にみると、「原子炉機材」部門の主要業種である「電気機器製造業」と「造船造機業」で、大幅な減少が予想される結果が出ている。

 一方、鉱工業の研究支出高(海外技術導入費等を除く)においても、年度によるバラつきはあるものの減少傾向に歯止めはかかっておらず、今回の調査では全部門で減少する結果となった(=図2)。このうち全体のほぼ三分の一を占めている「原子炉機材」部門の研究支出高は、91年度以降でみても最低の115億円となったことから、同調査では、「売上高の減少に応じて原子力研究開発に対する意欲が低下している状況が伺える」との厳しい分析をしている。

 原子炉機器製造部門の技術者の減少傾向も、今回の調査で顕著に表れる結果となった。

 民間の原子力関係従事者(技術系、事務系を含む)については、電気事業がほぼ横ばいであるのに対し、プラントメーカー等製造業を含む鉱工業では引き続き減少傾向が続いており、2007年度までの予測でも、こうした傾向に変化は見られない。鉱工業の技術系従事者に限ると、全体的にはさほど大きな増減は見られないものの、部門別では相当な温度差のある姿が浮き彫りになっており、具体的には、全体のほぼ3割を占める「サービス」部門の技術系従事者(2002年度・8271人)は、今後の見込みでも8000人台で推移するとみられている一方で、次に大きな割合を占める「設計」部門では、2000年度では5136人だったものが、07年度予測では4807人まで減少。また00年度には1424人を数えた「原子炉機器製造部門」は、02年度に1519人まで減少しており、07年度見込みでは1000人を割り込み、989人になるという予想結果が出ている(=表1)。

 これらの結果について、同調査では「製造部門での大きな落ち込みは、プラントメーカー等の製造業において『モノを見ていない』設計陣が残る一方で、『モノを見ている』製造陣がいなくなる深刻な兆候と見ることもできる」と評価すると同時に、「こうした現象がさらに顕在化すれば、モノづくりに培われたわが国の製造技術の維持が難しくなる事態の到来も高い確率で予想される」ことから、「『モノ』に直接関わる現場技術への格段の配慮が現実問題として求められている」としている。

 さらに今回の調査では、鉱工業の研究支出高がほぼ全部門で減少していることに伴い、鉱工業の研究者数も、92年度の半分以下になっている実態も明らかになった(=図3)。

 また今後の予測において同調査は、「一時の三分の一程度の水準まで下がる可能性さえある」結果が出たことから、同調査では、こうした背景には「最近の売上減少と将来に対する見通しの不確実性がある」と分析する一方、原子力技術が短期はもちろん、中・長期的視野の下に研究・技術開発が必要な分野であることから、「人員も含めた研究開発の減速は、新たな可能性を持った革新的な原子力システムの開発の芽を摘むことにもなりかねず、今後期待される世界市場においてわが国原子力産業がグローバルな展開を行おうとしても、その基盤となるべき肝心の経済的な競争力が失われてしまうという可能性も否定できない」と警鐘を鳴らしている。


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