[原子力産業新聞] 2004年2月12日 第2222号 <1面>

[原子力安全・保安院] 保安院が改善を確認

経済産業省の原子力安全・保安院は5日、関西電力の海外ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料調達に関する品質保証の改善状況について、関電が昨年10月に提出した改善報告書を検討評価した結果、同社が海外メーカーへMOX燃料発注を認めることを決め、5日開催の原子力安全委員会に報告した。評価にあたり同院では、報告書およびその裏付けとなる関係社内文書の審査といった書類審査と立入検査を実施。結果、「国などが指摘した品質保証に関する改善活動を適切に行っており、輸入MOX燃料調達業務を適切に行うために必要な品質保証体制と評価できる」と判断するとともに、さらなる改善指導を行った。

 関電では、同社の高浜発電所(=写真)向けプルサーマル用MOX燃料について、1999年に発生した英BNFL社の燃料品質管理用データ不正問題に関連した報告書、「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について」を、昨年10月23日付けで保安院に提出していた。

 これを受けた同院では、書類審査と立入検査を実施。報告書およびその裏付けとなる関係社内文書の審査を行うとともに、同社の本店、若狭支社、高浜発電所等で関係書類の確認、品質保証関係者への質問を行った。その結果、書類審査については改善実績を確認。

 また3日間の立入検査では、海外MOX燃料調達に関する品質保証の改善について、@経営層の考え方A議事録などの意志決定過程を示す文書B社内規定C社内意思伝達のためのコミュニケーション環境――などについて審査を行い、品質保証に対する経営層の考え方が法令の要求に沿うものであると同時に、品質保証体制の構築状況が適切な品質保証活動を行える状況にあること、さらには燃料調達プロセスの業務フローが体系的に定められていることなどを確認したとしている。

 総合評価としては、「03年10月施行の新しい安全規制体系に照らしても、同社が海外MOX燃料の輸入燃料体調達業務を適切に行うために必要な品質保証体制を構築しているものと認められる」としている。なお、今後の燃料調達に関する許認可の各審査段階でも、同社の品質保証活動の改善状況を確認していく方針だ。

 一方、保安院ではさらなる改善指導も指摘しており、具体的には、@品質保証活動の実施に不十分な最上位文書A品質保証活動を具現化する要領書等や監査要領の、JEAC4111−2003との不整合B品質を維持するための従業員の力量管理や教育訓練の体系化の不足C海外MOX燃料調達プロセスに関する規定類の体系化不足――が挙げられており、これらに関しては、後に同社が改善の報告を行っている。

関電のコメント

 当社は、1999年9月に発覚したBNFL製MOX燃料データ改ざん問題を踏まえ、報告書「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について」を、2004年10月23日、原子力安全・保安院、福井県、高浜町および京都府に提出したが、原子力安全・保安院より、今後当社が海外MOX燃料の調達を行うために必要な品質保証体制を構築しているものと認められる、とのご確認を頂いた。

 当社としては、原子力安全・保安院からのご指摘を踏まえ、品質保証活動について継続的に改善を進め、品質保証体制の一層の充実、強化を図っていくとともに、今後、福井県、高浜町、京都府のご理解を得て、プルサーマル計画を着実に進めてまいりたいと考えている。

 


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