[原子力産業新聞] 2004年2月12日 第2222号 <4面>

[日本原燃] 化学試験報告書の概要

 1月29日号既報の通り、日本原燃は1月22日、青森県・六ヶ所村の同社再処理工場において、2002年11月〜03年12月まで実施していた化学試験の報告書「再処理施設化学試験報告書(その1)を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。今号では同報告書の概要を紹介する。(なお、今年1月から化学試験が開始された高レベル廃液ガラス固化建屋及び、三 月より開始予定のチャンネルボックス・バーナブルポイズン処理建屋の試験結果については、別途取りまとめ報告される予定)

1. はじめに

 当社は、平成14年11月より使用済燃料の受入れ及び貯蔵に係る施設を除く再処理施設(以下、「再処理設備本体等」という。)について、硝酸等の試薬や有機溶媒等(以下、「試薬等」という。)を用いた化学試験を建屋毎に順次開始し、平成14年九月二日付け試験運転全体計画において当初から計画していた九建屋(表<CODE NUM=0405>1)(=略)における化学試験項目について、平成15年12月までに1通りの試験を終了した。

 本資料は、上記のこれまでに終了した化学試験の結果を取りまとめ報告するものである。

 なお、化学試験を平成16年1月より開始した高レベル廃液ガラス固化建屋及び三月より開始する予定のチャンネルボックス・バーナブルポイズン処理建屋の試験結果については別途、取りまとめ報告する。

 試験期間中に確認した不適合事項、改善要求事項等(以下、「不適合等」という。)については、試験運転全体計画に記載された取扱いに則り処理を行っている。

これらの不適合等のうち、処置が完了していない事項については、処置後、必要な試験等を実施し、その結果を別途報告する。

2. 試験目的

 化学試験では、試薬等を用いて、機器単体から建屋全体にわたり、その作動確認及び性能確認を行うことを目的とした。具体的な実施事項を以下に示す。

1  試薬等を用いた運転パラメータの調整等

2  試薬等を用いた機器、系統及び複数の系統の作動及び性能の確認

3  外部電源の喪失、ユーティリティ喪失等の外乱試験を実施し、機器の作動確認、設備・施設の挙動確認、異常時対応操作及び復旧操作の確認

 また、期間中に確認した不適合等について、改善等の対策を行い、不適合等を是正すること及び化学試験を通じて、運転員、保修員等の技術力の向上や運転要

領書、運転手順書の充実を図ることを目的とした。

3. 試験項目及び手順

 試験項目及び試験手順については、ラ・アーグ再処理工場、セラフィールド再処理工場、東海再処理工場(以下、「先行再処理施設」という。)の運転経験等を基に定め、施設が有する機能・性能の確認範囲を段階的に広げていく試験方法を採用した。また、あらかじめ設計の妥当性の検証を行うとともに、先行再処理施設において過去に発生したトラブル情報を入手し、反映の要否について検討し、試験で確認する事項の選定を行った。さらに、試験運転全体計画に示した化学試験において確認すべき安全関連確認事項を試験に反映した。選定した試験項目の総数は327であり、その概要を表−1(=略)に示す。

4. 実施体制

 化学試験は、建設試運転事務所長の指揮の下、技術部、試運転部、保修部等が主体となって行った。保安監査部長は、試験計画書、試験要領書等について保安の観点から技術審査を行った。また、化学試験を実施するに当たって、先行再処理施設の運転経験を有するCOGEMA、BNFL及び核燃料サイクル開発機構による支援を受けた。

5. 実施工程

 各建屋の化学試験の実施工程を図−1に示す。

 なお、当初の計画では、化学試験は平成15年8月までに終了する予定であった。

 しかし、使用済燃料の受入れ・貯蔵施設のPWRプールでの漏えいに伴う点検・補修、ウラン脱硝建屋における硝酸漏えい等により化学試験工程の見直しを行った。

6. 試験結果とその評価

 各建屋の設備、機器について、その運転性能、制御特性等のデータを取得するとともに、得られたデータの評価を行った結果、各設備が良好な運転特性、性能を有することを確認した(一部の不適合等を除く)。また、安全関連確認事項に関する能力、性能等についても、試験を通して具備すべき安全機能が確保されていることを確認した。

6.1 主要な試験結果の要約

 各建屋の機器、系統について、後述する不適合等を除いて、機器単体から建屋全体及び建屋間にわたり、その作動及び性能が総じて良好であることを確認した。

 試験結果の概要を表−2(=略)に示す。また、運転要領書及び運転手順書については、化学試験により得られた知見を反映し、それらの充実を図った。

6.2 安全関連確認事項とその結果

 各設備、機器について化学試験をとおして確認する安全関連確認事項については、後述する不適合等を除いて、核燃料物質等による災害防止の観点から具備すべき安全機能は確保されていることを確認した。

6.3 不適合等とその対応

 化学試験期間中に、再処理設備本体等において三百七件(平成15年12月末現在)の不適合等が確認された。このうち、試験要領書等に基づく化学試験の実施により確認された不適合等(以下、「化学試験に係る不適合等」という。)は79件(表−3)(=略)であり、化学試験に直接関係しない不適合等は228件であった。これらの不適合等について、化学試験との関係、内容、保安レベル、対応状況に係る分類を図−2に示す。

 化学試験に係る不適合等の内容を分類した結果、廃ガス加熱器の温度制御不良等の「性能未達・動作不良」、除染試薬系バルブの不動作等の「不動作」が多かった。

これらの不適合等を保安レベルで分類すると、保安上重要な事項が0件、それ以外の保安に係る事項が21件、保安に係らない事項が58件であった。

 また、化学試験に係る不適合等は、試験項目に直接関係し、化学試験として再試験を要するものと、試験目的や試験結果に影響がない不適合等に分けられる。前者の再試験が必要な不適合等は33件であった。このうち、再試験を既に行ったものは31件であり、それらの試験結果は良好であった。再試験が未実施のものは2件であり、是正の必要な時期までに処置を行う予定である。1件は、第二酸回収系の蒸発缶における濃縮液抜出しに係る配管の改造でウラン試験開始までに再試験を行う。もう1件は、臨界安全に係る施錠弁に関する計算機ソフトウエアの改造でアクティブ試験開始までに再試験を行う。一方、後者の試験目的や試験結果に影響がない不適合等は46件であり、既に11件は是正処置後の機能確認試験等を終えている。残る35件については、当該建屋のウラン試験開始までに是正処置を行い、必要な機能確認試験等を実施する。

 化学試験に直接関係しない不適合等228件は、化学試験対象外の建屋の不適合や、化学試験対象建屋でも化学試験に直接関係しない設備等で確認された不適合等である。そのうち、溶解槽の温度計設置場所誤りの1件は、保安レベル上「保安上重要な不適合事項」に分類された。当該温度計は撤去し、新規の温度計を適切な位置に設置することとした。これらの228件の不適合等については、順次、水平展開を含み是正処置を実施中であり、当該建屋のウラン試験開始までに処置を完了させることとするが、処置が完了しないものについては、試験運転全体計画に基づき、保安上支障がないことをウラン試験への移行条件として確認する。

 なお、これらの不適合等の合計307件については、当社のホームページ(再処理施設の建設工事・試験における不具合・災害等の状況)に、総件数や発生項目毎の件数、主なものの件名、事象内容、処置内容について掲載している。

7. 教育訓練について

 当社では、再処理要員の養成のため、これまで各職位、階層に応じた教育訓練を実施してきている。特に先行再処理施設における実務教育や管理区域内での基礎作業訓練等を実施し、知識・技術・技能の習得を図るため、アクティブ試験までにラ・アーグ再処理工場において95名の運転員等の教育訓練を計画し、これまでに計87名の訓練を修了した。また、東海再処理工場においては、171名の研修計画に対して、これまでに計169名が参加し、訓練を修了した。

8. おわりに

 試験運転全体計画において当初から計画していた九建屋に係る化学試験項目について、再試験を行う2件の項目を除き試験を終了した。一部の不適合等の是正については継続して実施しているが、機器単体から建屋全体及び建屋間にわたり、その作動及び性能が総じて良好であることを確認し、化学試験の目的を達成した。また、不適合等の是正、運転員等の技術力向上、運転要領書等の充実を図った。


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