[原子力産業新聞] 2004年3月4日 第2225号 <3面>

[米NEI・DOE等] 軽水炉研究開発で戦略計画

 米原子力エネルギー協会(NEI)、エネルギー省(DOE)および電力研究所(EPRI)は2月26日、官民合同による「軽水炉研究開発に関する戦略計画」を発表した。同戦略計画は、原子力発電容量を増やすため、今後十年間を見通して、@規制改革と新型炉開発による新規建設の推進A運転中の既存プラントの性能向上――を目指すとしている。

 この「軽水炉研究開発に関する戦略計画」は、2月26日、NEIが米ワシントンのキャピタルビュー・コンファレンス・センターで開いた「原子力エネルギー研究開発サミット」席上で発表されたもの。

 同会議では、将来の原子力研究開発、水素製造への戦略計画等について、米原子力産業界と米政府、下院議員や議会スタッフも交えて議論が行われた。

 「戦略計画」は、新原子力発電所新設と、既存炉容量の維持・拡張による原子力発電容量の増加を目指すもの。自由化された電力市場で新規原子力発電所建設を実現するための、規制上および経済性での問題の解決を目指す。

 規制については、電力会社と投資家の信任を得るため、米原子力規制委員会(NRC)に「合理化され予見可能、かつ実証された許認可プロセス」の確立を求めている。また、より経済性の高い原子炉の開発や、建設期間とコストを低減する新技術の導入によって、新規炉の競争力向上を目指す。

 運転中の原子力発電所の長期的な安全性と経済性を向上するため、「戦略計画」は、既存炉の運転実績改善が必要と指摘。具体的には、発電容量の増強、運転成績の最適化、長期にわたる安全運転などのために、新技術の開発が必要としている。さらに、原子力発電所の保安についても、コスト効果の高いセキュリティ技術が必要と述べている。

 また、核燃料については、長期サイクル運転を行うために、信頼性の高い高燃焼度燃料技術の開発、さらには使用済み燃料の管理・輸送の経済効果を高める研究開発も求めている。


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