[原子力産業新聞] 2004年3月4日 第2225号 <3面>

[日、米] 不拡散委員会 ブッシュ米大統領 7項目提案など協議

 外務省は2月18日、東京で第7回日米軍備管理・軍縮・不拡散・検証委員会を開催、米国からボルトン米軍備管理・国際安全保障担当国務次官らが、日本側からは天野之弥外務省軍備管理・科学審議官らが出席した。この協議は、軍縮・不拡散に関する国際的枠組みについて日米間で政策協議を行うために定期的に行われているもので、前回は昨年8月1日に開催。

 パキスタンのカーン博士による核兵器開発技術流出疑惑や、リビアの大量破壊兵器開発などから、核兵器開発に関する闇市場の存在が判明、現在の国際的不拡散体制の抜け穴があることが明らかになりつつあり、これをどのようにして埋めるかが重要な課題となっている。

 2月11日に発表されたブッシュ米大統領の不拡散に関する七項目提案(本紙2月19日号3面参照)もこのための指針とされている。今会合の主な目的は、このブッシュ提案について、日米間ですり合わせを行うと共に、日本が独自のイニシアティブで行っているアジア諸国への働きかけ等を紹介すること。

 日本側からは、パキスタンに対し情報開示と再発防止を申し入れていることを説明。日米はリビアに関しても、大量破壊兵器関連の技術拡散プロセスを精査、再発防止に努めることが重要との認識で一致した。

 また、米国側はブッシュ大統領の7項目提案を説明、拡散安全保障構想(PSI)の拡大については、特に法執行面での協力を重視すると説明した。日本側から、特に日本はアジア諸国との連携強化を重視しており、昨年はアジアにおける不拡散に関する局長級の政策協議の場を開催、また、昨年末から今年初頭にかけて、関係省庁からなる派遣団をASEAN十か国に派遣し、輸出管理体制の強化、国内実施体制の整備を働きかけていると説明した。この結果日本の活動の成果として、シンガポールのPSIへの新規加入を挙げた。

 ブッシュ大統領の提案の中にある、ウラン濃縮・再処理を行っていない国に、原子力輸出国グループ(NSG)は関連資機材の供与を見合わせるべきとの提案について、日本からは、核不拡散条約(NPT)第四条にある原子力の平和利用の権利に係わる問題であり、広く議論していく必要があると述べた。


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