[原子力産業新聞] 2004年3月11日 第2226号 <1面>

[電中研] 放射性雑固化体廃棄物処理で、プラズマ利用の一括減容溶融処理法を開発

 電力中央研究所はこのほど、放射性雑固化体廃棄物の減容処理技術としてアークプラズマ加熱を用い、「廃棄物を分別することなく一括して溶融固化処理でき、放射性核種の閉じこめ性能に優れ、さらに固化体を高い減容率で作成出来る手法を開発し、実用化の目途を得た」ことを明らかにした。

 全国の原子力発電所からは、年間約4万本の低レベル放射性固化体廃棄物が発生しており、各発電所の敷地内に保管の後、確認検査を受けて青森県六ヶ所村の日本原燃低レベル放射性廃棄物埋設センターに運び込まれている。現在全国の半数の発電施設で固形化処理が行われており、また残りの発電施設においても、ドラム缶の保管量の増加に伴い固形化処理を実施する必要があり、その際出来るだけ減容することが期待されている。

 現在行われている減容処理方法には「充填法」と「溶融法」があるが、電中研ではコスト面では不利であるものの、減容の面で優れた溶融法に着目。金属や無機物など融点の高い物を含む雑固化体廃棄物を、アークプラズマを用いて溶融処理することで、高い減容率で一括処理出来る技術を開発した。

 電中研ではまた、同技術を実用に供するためには、溶融固化体が埋設処分に適していることおよび、放射性核種の閉じこめ性を明らかにする必要があることから、プラズマで固化した雑固化体廃棄物について、溶融固化体の性状と放射性核種の挙動に関する調査を実施。その結果、@従来と同様に、埋設時にドラム缶の積層が可能であることA外部からの放射線計測により、ドラム缶内部の放射性濃度が容易に評価出来ることB固化された廃棄物からの模擬元素を用いた放射性元素の溶融率は極めて小さく、化学的に安定していること――などを明らかにしたとしている。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.