[原子力産業新聞] 2004年3月11日 第2226号 <3面>

[IAEA] 核拡散に危機感深める

国際原子力機関(IAEA)理事会が8日、ウィーンのIAEA本部において3日間の日程で始まった。冒頭、エルバラダイ事務局長は、「この1年間は、核不拡散体制にとって、チャレンジの年だった」と挨拶。北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)脱退をはじめ、イランとリビアの保障措置協定違反、国際的な核ブラックマーケットの露見などを指摘した。

イランの保障措置協定違反問題について、同国が10月に行った「申告」に、最近IAEA査察で発見されたP2遠心分離機が含まれていなかったことに「深刻な懸念」を表明した。

12月に核兵器を含む大量破壊兵器の全面放棄を宣言したリビアについては、「長年IAEAに核物質や原子力活動などを申告する義務を怠ってきた」と指摘。放棄宣言後、査察を全面的に受け入れ、協力していることに歓迎の意を示した。

エルバラダイ事務局長は、「われわれは複雑なブラックマーケット・ネットワーク存在の証拠をつかみつつある」とし、核兵器技術の拡散に懸念。核不拡散枠組みへの挑戦に応えるため、@NPT加盟国に追加議定書加盟の義務づけA機微原子力技術の輸出管理強化B濃縮、再処理等機微技術の拡散防止と「地域センター」構想――等を提案。機微技術拡散防止のため、専門家グループを作成し、検討する考えを示した。


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