[原子力産業新聞] 2004年3月18日 第2227号 <2面>

[核融合研] LHDでベータ値4.1% ヘリカル型課題解決に光

 核融合科学研究所は、このほど大型ヘリカル装置(LHD)で、ヘルカリ型閉じ込め方式としては世界最高のベータ値となる4.1%を達成した。中性粒子入射装置の高出力化、加熱分布の適正化などにより達成したもので、同研究所ではベータ値の制限が懸念されるというLHDの最大の問題を解決できる可能性がある、としている。

 ベータ値はプラズマの圧力と、これを閉じ込めるために用いた磁場の圧力の比。核融合炉を実用化するには経済的に5%以上が必要とされる。ヘリカル型閉じ込め方式では、これまでドイツのマックスプランクプラズマ物理研究所の「W7−AS」が3.4%を達成していた。

 ベータ値4.1%で、プラズマの中心温度は530万度、密度28兆個/CC、磁場強度0.45テスラ。ベータ値はプラズマのエネルギーが99%存在する領域において平均プラズマ圧力及び磁場の圧力により評価した。

 LHDは今年度、第7サイクル実験を実施したが、中性粒子入射装置の負イオン源の改良により、熱加熱出力を13MWに増加させるとともに、電子サイクロトロン共鳴加熱装置も長パルス用の発信管を導入した。

 なお、核融合科学研究所では、高ベータ化をはじめとする今年度の実験成果報告会を4月6日と7日の両日、同研究所(岐阜県土岐市)で開催する。


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