[原子力産業新聞] 2004年4月1日 第2229号 <2面>

[東京電力、原子力発電] AM評価後PSAで報告書

東京電力は3月26日、「アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書」を取りまとめ、経済産業省原子力安全・保安院へ提出した。  アクシデントマネジメント(AM)とは、炉心損傷のおそれがある事態が発生した際、現在の設計に含まれる安全余裕や既存の設備、さらに新規に設置した機器などを有効に使うことなどにより、事故がシビアアクシデントに拡大するのを防止し、拡大した場合も、その影響を緩和するために取られる措置のこと

国内の電力会社は全ての原子力発電所においてAMの整備を完了し、02年5月に整備結果をとりまとめ経産省に報告していたが、その際整備したAMの有効性を定量的に確認する観点から、BWRおよびPWRの型式毎に選定した「代表炉」について、AM策を考慮した確率論的安全評価(PSA)を実施し、併せて経産省に提出していた。

今回の報告書は、経済産業省の依頼に基づき、全ての同社原子力プラントについて確率論的安全評価を行い、AMの有効性を確認したもの。

今回の報告書は、評価対象プラント13基(福島第13〜6号機、福島第22〜4号機、柏崎刈羽1〜5号および7号機)について、プラントの型式毎に主要な系統・設備と整備したAM策(代替反応度制御、代替注水手段、原子炉減圧の自動化、格納容器からの除熱手段、および電源供給手段)の概要を示すと同時に、AM整備後のPSAを実施し、その結果を取りまとめている。

評価の結果、いずれのプラントについても、2002年5月に評価した代表炉と同様に、AMの整備により、炉心損傷頻度、格納容器破損頻度がともに低減(グラフ参照)、プラントの安全性がさらに向上していることを確認した。

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原電も報告

日本原子力発電は3月26日、同社の東海第2発電所および敦賀発電所2号機について、「アクシデントマネジメント整備後確率論的安全評価報告書」をとりまとめ、原子力安全・保安院に提出した。

今回、報告されたのは、「代表炉」に選定されなかった原電の東海第2および敦賀2号について、保安院の依頼に基づき原電がAM策を考慮したPSAを実施し取りまとめたもので、評価の結果、AM整備により@炉心損傷頻度は東海第2で約9割、敦賀2号で7割以上低減されているA格納容器破損については東海第2で9割以上、敦賀2号で約7割低減されている――としている。


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