[原子力産業新聞] 2004年4月15日 第2231号 <1面>

[原産] アジアの原子力発電100基体制に 合計出力は過去最高

 日本原子力産業会議は8日、2003年12月末現在の世界の原子力発電所の現状を取りまとめ発表、アジア地域で運転中の原子力発電所が100基・7613万kWに達したことを明らかにした。世界全体では、運転中の原子力発電所の基数は434基と昨年から2基減ったものの、合計出力は昨年を255.9万kW上回り、3億7628.6万kWと、過去最高になった。

 この調査は原産が世界33か国・地域の81電力会社にアンケート調査を行い集計したもの。

 2003年中に、中国の嶺澳2号機(PWR、99万kW)と秦山V期2号機(CANDU、70万kW)の2基が運転を開始、これにより、中国で運転中の原子力発電所は8基・629.8万kWとなった。また、運転を休止していたカナダのピッカリングA4号機(97年停止)とブルースA4号機(98年停止)が運転を再開、昨年中に運転を開始した原子力発電所は4基となった。

 アジア地域では、運転中の原子力発電所の基数が初めて百基に達した。アジア地域で建設中のものは20基・1646万kW、計画中は18基・1957.8万kWとなり、アジアが世界の原子力発電開発をリードしている現状が再確認された。

 昨年中に着工されたのはインド(ラジャスタン6号機)と日本(泊3号機)の2基。

 今年世界で新たに計画入りしたものは五基で、いずれもインド。100万kW・軽水炉2基、70万kW・重水炉2基、改良型重水炉・30万kW1基が計画入りした。

 西欧で10年ぶりの新規計画として注目されているフィンランド5基目の原子力発電所は、昨年中に建設サイトをオルキルオトに、炉型が欧州加圧水型炉(EPR)に決定、出力は世界最大の170万kWとなる。

 一方、経済性の劣る原子力発電所を中心に、昨年、世界で6基・107.7万kWが運転を中止した。内訳は日本が1基(ふげん)、英国4基(コールダーホール1〜4号機)、ドイツが1基(シュターデ)だった。


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