[原子力産業新聞] 2004年4月15日 第2231号 <5面>

[原研] JMTRを改造し運転継続、検討委員会が報告

 日本原子力研究所は7日、材料試験炉(JMTR)の今後のあり方を検討していた「JMTR将来計画検討委員会(委員長=伊達宗行大阪大学名誉教授)」が、2006年頃から同炉を3〜4年・180億円かけ、本格的に改造、2025年頃まで利用することが望ましいとする報告書をまとめたと発表した。

 大洗研究所にあるJMTRは、運転開始から既に36年がたち、施設の老朽化や使いにくさなどが問題になっていた。

 同炉については、原研とサイクル機構の統合を検討した「原子力二法人統合準備会議」で、文部科学省が廃止の方針を打ち出し、委員から、代替施設の確保が困難などの意見が出され、最終報告書からは廃炉の方針が削除。原研は昨年7月に「検討委員会」を設立し、適切な廃炉方法と時期、将来の材料照射試験のあり方について検討を行ってきた。

 報告は、21世紀に入って、軽水炉の高経年化やMOX燃料開発などで「材料試験用原子炉の重要性が高まってきた」と指摘するとともに、次世代炉や核融合炉材料の開発での同炉の重要性にも触れ、同炉を「直ちに廃止することは論外で、我が国の原子力政策にも重大な損失となる」と指摘。一方で、海外の材料試験炉も老朽化が進み、確実な利用が見込めないこと、また、国内での新材料試験用原子炉の建設には400〜500億円と十年余の期間が必要であり、現状では実現不可能との見方も示している。

 同報告書はこれらのことから、現在行っている軽水炉炉内構造物の照射試験が完了する2006年頃から、3〜4年間と約90億円をかけ、原子炉を大規模改修、さらに最新のMOX燃料の照射等が行える新たな照射試験設備を約90億円で整備すれば、「利用効率は倍化し、その後は約15年程度の運転が可能」との方針を示し、最終的なJMTRの廃止については、「2025年頃が適当」としている。

 なお改造にあたっては、将来の国際協力、国、電力、燃料やRI製造民間企業、大学など、全日本的視野での資金調達も念頭に置き、経済的で使いやすい炉設計を心がけるとともに、改造の内容についてのピアレビュー、最終的には国等の評価を受け、速やかに進めるべきと提言している。


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