[原子力産業新聞] 2004年4月15日 第2231号 <5面>

[高輝度光科学研] SPring−8 成果報告会を開催

 高輝度光科学研究センターは3月25日、都内で2003年度SPring−8トライアルユース成果報告会を開催した。

 トライアルユースは、産業界が抱える技術課題をSPring−8の利用でブレイクスルーを目指す支援制度。01年度に補正予算で実施されたが、産業界からの継続要請があり、03年度から年度計画として重点分野を設定し実施中。03年度の重点分野はイメージングと応力解析とし、71件の申請に対し38件が採択された。

 今回報告会では10件の発表があり、この中で東芝はレーザーピーニング後の残留応力分布測定の成果を報告した。同技術は、BWRのシュラウドの溶接部分に発生することがある応力腐食割れの予防保全対策として九九年から適用されているが、圧縮残留応力の形成メカニズムの検討されていないのが実情。このため今回、高輝度細束X線により、に分析、検討した。

 03年度の原子力関係ではこのほか、住友金属工業がPWRの高燃焼度燃料被覆管に使用されるジルコニウム合金の酸化被膜に発生する残留歪み測定、核燃料サイクル開発機構が乾式再処理に使用される溶融塩電解の炭素電極電析物のその場X線回析測定などを実施した。

 同センターでは今年度の重点分野に「ナノ薄膜・微量元素の局所構造評価とナノ薄膜多結晶結晶の構造評価」を予定、来年度は「X線マイクロビーム応用」を検討している。


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