[原子力産業新聞] 2004年5月13日 第2234号 <1面>

[総合資源エネ調査会 制度・措置検討小委] バックエンド「経済措置」の枠組み固まる

 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度・措置検討小委員会(委員長=植草益・東洋大学教授)は、11日、第4回会合を開き、バックエンド費用を、電力会社から独立した外部組織に積み立て、運用・管理する方針を決めた。また、既発電分バックエンドコストのうちいわゆる未回収費用は、電力託送の仕組みを利用し、託送料金にコストを別途上乗せ、一般電気事業者と特定規模電気事業者(PPS)から、15年かけ回収する方針など、経済措置の枠組みを固めた。

 この日の会合では、事務局の資源エネルギー庁が、論点別にこれまでの議論をまとめた資料をもとに、委員間で議論が行われた。また、電気事業者を代表して関西電力の森本副社長が、事業者の考える経済的措置のあり方を提言。その中で未回収費用について、「託送の仕組みを便宜的に利用して未回収費用をPPSに代行回収」してもらうとの考えを示した。

 論点の1つである経済的措置が対象とするバックエンド費用の範囲については、PPSおよび消費者団体の参考人から、未手当の費用のうち、MOX加工費やウラン濃縮バックエンド費用は燃料原価で回収すべき、中間貯蔵や廃棄物輸送費は再処理と直接関係がなく除外すべきとの意見があり、委員間での議論の結果、MOX加工費用、濃縮工場廃止措置費、中間貯蔵については対象外とし(総計2兆4400億円)、廃棄物輸送費と貯蔵費の扱いについては、事務局が検討することになった。対象外となる費用は引当対象とせず、費用発生時に当期費用として扱われることになる。

 バックエンド費用を積み立てる外部機関については、透明性、安全性を確保するため公的な管理スキームが必要との認識で一致したものの、委員からは、新たな事業主体を作らずに、既存の組織を活用すべきとの意見も出された。

 総額2兆8000億円にのぼる既存の使用済核燃料再処理引当金の扱いについては、外部機関での管理・運用に一本化されることとなったが、外部組織への拠出が電力会社の経営に与える影響を緩和するため、15年間かけて拠出すること、拠出額には運用利率と整合性のある割引率を適用することなど決まった。

 植草委員長は、近く開かれる電気事業分科会で、今回まとまった経済措置の枠組みを報告するとともに、託送料金への上乗せ額等の具体的な数字についてもエネ庁より概算額を提示し、分科会での検討に付す方針を明らかにした。


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