[原子力産業新聞] 2004年5月20日 第2235号 <3面>

[米・DOE] 原子力発電を上向き修正

米エネルギー省(DOE)エネルギー情報局(EIA)はこのほど、2025年までの世界のエネルギー需給を予測した2004年版「国際エネルギー見通し」を発表した。原子力発電を巡る状況が好転したことから、同見通しでは昨年度版より原子力発電の見通しを上向き修正、2001年に世界で2兆5210億kWhだった原子力発電からの発電量が、2020年に3兆320億kWhに増加、2025年には2兆9060億kWhとなるとしている。

国際エネルギー見通しは、中国とインドなどの活発な経済発展により、アジア地域の開発途上国のエネルギー需要は年平均5・1%で増加すると予測、世界全体でも年3・0%の増加を見込む。また、開発途上国での旺盛な需要などから、石油価格は、2025年に1バレルあたり51ドルへ上昇すると予測している。

世界の電力需要は、2025年には2001年の倍の23兆720億kWhに増加する。

原子力発電は、近年の設備利用率などが好調なことから、原子力への見直しの機運が高まっていると指摘。天然ガス価格の高止まり予測とも相まって、米国内で2025年までに退役する原子力発電所はほとんどないとしている。この結果、2025年の世界の原子力発電設備容量は3億8500万kWへ、2001年から9%増加する(=図2)。原子力発電電力量は、2020年には2001年の20%増、2025年には同15%増と予測している。

2025年までに世界で4400万kWの原子力発電所が新たに建設され、そのほとんどがアジアの開発途上国で建設されると予測している。国別には、中国が1900万kW、韓国が1500万kW、インドが600万kW。先進工業国では、日本で1100万kW、ロシアで600万kWの新規建設を予測している。

地球温暖化の原因となっている二酸化炭素放出量については、2004年の年間239億トンが2025年には371億トンへ55%増加すると予測。この増加量のうち、61%が石炭を多用する開発途上国で発生するとしており、「先進国が2酸化炭素放出量削減の努力を行っても、世界全体では予測期間中に二酸化炭素放出量は大幅に増加する」と述べている。


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