[原子力産業新聞] 2004年5月20日 第2235号 <4面>

[放医研] 宇宙放射線線量計の国際標準化目指す

放射線医学総合研究所は、宇宙放射線線量計の国際標準化に向け、国内外の研究機関と協力して、国際宇宙ステーションにおいて宇宙放射線線量計の比較実験を行っている。宇宙飛行士の放射線被ばく管理の信頼性向上がねらい。

地上から約400km上空に建設中の国際宇宙ステーションにおける被ばく量は、地上の約1000倍に達し、高エネルギー中性子や重イオンの存在など地球上とは異なる放射線被ばくが起きる。世界各国の宇宙機関は各々独自の線量計を開発しており、統一された基準が無いため宇宙環境における測定結果に食い違いが生じている。このため放医研では、2002年から、重粒子線がん治療装置(HIMAC)の重イオンビームにより各国の線量計を評価・校正・標準化のための研究(ICCHIBAN-Project) を主導してきた。今回の実験はこうした地上での国際比較実験を宇宙において展開する足がかりになると期待される。

放医研等の線量計を搭載したロシア・プログレス宇宙船は1月29日、打ち上げに成功し、国際宇宙ステーションとドッキング。サービスモジュール内の測定を終えた線量計は回収され、4月30日にソユーズ宇宙船で無事地球に帰還した。

線量計は放医研に返還された後、6月4日から15日まで海外から6名の研究者も参加し、HIMAC生物照射室において、重イオンビームを使用した宇宙放射線モニター国際比較実験により解析される予定。


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