[原子力産業新聞] 2004年6月17日 第2239号 <2面>

[原産] プル利用等で提言

 日本原子力産業会議は15日開催の原子力委員会定例会議において、プルトニウム利用のあり方および高温ガス炉の実用化開発について提言を行った。

 「プルトニウム利用はどうあるべきか─産業界からの提言」は、原産の燃料・リサイクル委員会(委員長=秋元勇巳・3菱マテリアル会長)の報告書を基に、取りまとめた。

 提言は、(1)産業界が今後とも主体的に、軽水炉燃料サイクル事業を推進するには現在、電気事業分科会において検討中の経済的措置に対する適切な配慮や国による強力な技術支援が不可欠(2)産業界は原子力に対する信頼を回復し、プルサーマルの早期開始と六ヵ所再処理工場の安全・安定運転に傾注するが、高速炉リサイクルに向けたプルトニウム利用技術の高度化に強い関心を持ち、国に協力する(3)プルトニウム利用政策の推進に関する制度や環境の整備および技術開発は、産業界の投資リスクとの整合性を図りつつ、国が自らの役割として強力に推進することが重要──の3点。

 これを基本に原子燃料サイクル事業のあり方、プルサーマルの推進、サイクル施設の安全、社会からの信頼回復、技術開発、国際協力の6項目について、より具体的な産業界がとるべき行動と国への要望事項を挙げた。

 一方、「高温ガス炉の実用化開発に関する提言−来るべき水素エネルギー社会への原子力の貢献に向けて」は、原産の原子炉熱利用に関する将来展開検討会(主査=関本博・東京工業大学教授)の審議を基に取りまとめたもの。

 提言は、(1)国は長計策定に当たり、原子力委員会研究開発専門部会に新たな検討会を設置し、高温ガス炉の実用化に対する総合戦略的評価を緊急に実施すべき(2)国は我が国のエネルギー開発計画における高温ガス炉の位置付けを明確化するとともに、具体的な実用化開発計画を作成すべき──の2点。

 また、総合戦略的評価の視点として、エネルギーセキュリティー、輸出産業戦略、地球環境負荷低減、次世代・若い世代への技術提供、核拡散抵抗性などが挙げられる、としている。


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