[原子力産業新聞] 2004年6月24日 第2240号 <4面>

[原子力安全委] 重点研究計画案を策定 リスク情報規制など

 原子力安全委員会の原子力安全研究専門部会はこのほど、05年度から約5年間に重点的に推進すべき安全研究を7分野13項目にわたって提示した「原子力の重点安全研究計画」案を策定した。

 同委員会は従来、国の研究機関等から提案される研究課題を整理・統合して「安全研究年次計画」に取りまとめてきたが、研究機関が独立行政法人化される状況下で、規制当局側が積極的に重要な安全研究の内容を示すことが必要との観点から、「安全研究年次計画」に代わるものとして初めて策定に至ったもの。

 重点安全研究の7分野は、「規制システム」、「軽水炉」、「核燃料サイクル施設」、「放射性廃棄物・廃止措置」、「新型炉」、「放射線影響」および「原子力防災」。このうち「規制システム」分野ではリスク情報の活用、事故・故障要因等の解析評価技術の2項目を、「軽水炉」分野では安全評価技術、材料劣化・高経年化対策技術、耐震安全技術の3項目を挙げている。

 また「放射性廃棄物・廃止措置」分野では、高レベル放射性廃棄物の処分、高βγ廃棄物、TRU廃棄物、ウラン廃棄物等の処理・処分、廃止措置技術の3項目を、「新型炉」分野では高速増殖炉の安全評価技術、その他の新型炉の安全評価技術の2項目を指摘している。

 さらに重点安全研究の推進体制についても、規制側の求める安全研究成果に関する規制側と研究機関側との間の十分な意思疎通、原子力安全に携わる人材の育成・確保、安全研究に必要な資金・基盤施設の確保、産学官の連携、国際協力を求めている。

 今回計画では、中核的な安全研究実施機関に対して期待される安全研究の役割や分野を示すこと、規制側ニーズに直結した安全研究の成果の取り込みを目指すこと、約3年後の中間評価と計画終了後の総合評価を行い、その後の改善に役立てることなどが特徴となっている。

 「原子力の重点安全研究計画」案は現在、意見公募に付されており、間もなく専門部会から安全委員会に報告され、同委員会で決定される見通しとなっている。


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