[原子力産業新聞] 2004年7月1日 第2241号 <2面>

[原子力安全委員会] 政策評価会議開く

 原子力安全委員会は6月17日、自らの政策を自己評価するための第5回政策評価会議を開催した。

 政策評価会議は、政策評価の中立性・客観性を確保する観点から、学識経験者の出席を求めて、同委員会の政策を評価する意見を聴くもの。今回会合は、本年1月22日開催の第4回会合に続くもので、大橋秀雄・工学院大学理事長、評論家の大宅映子氏、村上陽一郎・国際基督教大学教授、山之内秀一郎・宇宙航空研究開発機構理事長らの各メンバーが出席した。

 会合では、事務局から委員会の活動概要を紹介した後、メンバーからは評価会議の在り方について、「政策を評価するのか、政策の達成度を評価するのか」、「達成度について自己採点・評価するのか」等の質問が出され、意見交換が行われた。

 村上氏から、安全委員会の業務範囲に関連して、セーフティのみならずセキュリティの概念からみた規制活動の可能性について質問があり、安全委員側から「委員会設置法からは対象外だが、両者の結合を説く谷口IAEA事務局次長らの考えもある。国民保護法制では、安全委員会が技術的助言を行う」との回答があった。

 さらに、大橋氏は「これまではリスクやダメージを軽減する努力が失敗する謂わば『善意の破綻』というパターンの事故が主だったが、テロ等の『悪意の発露』によるリスク、ダメージを考慮することも必要になっている。21世紀は両者が混在する時代であり、悪意を実現させないことを今まで以上に意識すべき。安全委員会として、その方向付けが必要ではないか」とコメント。

 安全の基本的考え方については、山之内氏から「原子力は原則的に絶対失敗してはならない分野であり、100%に近い安全性が求められる。これに対して、宇宙開発は未知の部分が多く、失敗が避けられない分野である。未だに宇宙ロケットの成功率は95%程度であり、マスメディア関係者にも理解されている」との紹介があった。

 今回の評価会議について、安全委員側から「異分野の有識者から自由で率直な意見を聴くことができ、大いに参考になった。今後の活動に役立てたい」との挨拶があった。


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