[原子力産業新聞] 2004年7月1日 第2241号 <2面>

[原研] HTTR中間評価第2回WG 今後の見通しなど検討実施

 高温工学試験研究炉(HTTR=図)中間評価WG(座長=岡芳明・東京大学大学院教授)は6月24日、第2回会合を開催し、高温工学試験研究の今後の見通しなどを検討した。

 この中で日本原子力研究所は、2025年頃に、熱出力60万kW級の高温ガス炉で、8万N立方メートル/hの商用水素製造技術の確立を目指すことを明らかにした。

 原研の見通しでは、2010年までに、高温ガスの安全性確証や運転技術確立とともに、ISパイロットの制御技術や工学材料の確認、炉と水素製造のシステムインテグレーション技術開発(非原子力級の設計手法の確立)などを実施する。

 10年から15年にかけては、HTTRに1000N立方メートル/hの水素製造能力をもつISプラントを接続し、HTTRと水素製造の統合システム性能確認を行う。これにより、高温ガス炉水素製造システム商用化のための技術開発をほぼ完了。15年から熱出力60万kW級の商用システムの設計に着手し、25年には商用水素製造が可能という。

 60万kW級で8万N立方メートル/h、年間約7億N立方メートル/年の水素製造を想定、これは燃料電池自動車百万台程度に水素を供給できる能力という。経済産業省の試算では、30年の国内水素需要は定置用燃料電池向け290N立方メートル、燃料電池自動車向け170億N立方メートルの合計460億N立方メートル。この時の燃料電池自動車導入台数は約1500万台としている。

 同WGは、HTTRを利用した水素製造プロセスに関する工学基礎試験が今年度で終了予定のため、これまでの評価と今後の方向性を検討するために設けられ、6月1日に第1回会合が開催された。


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