[原子力産業新聞] 2004年7月1日 第2241号 <4面>

[放影研理事会] 米出資削減に反対声明

【6月24日共同】被爆者の健康を日米共同で調査している放射線影響研究所(広島市)のバートン・ベネット理事長は24日、理事会終了後に記者会見し、米国政府が打ち出した出資金削減の方針に対し、日米の科学者ら計九人で構成する理事会が、「一方的削減は運営資金折半の日米合意に反する」との反対声明をまとめたことを明らかにした。

 同理事長によると、声明は「放影研の研究にはまだ長い時間が必要だ」と研究継続の重要性を訴えている。米エネルギー省、国務省、連邦議会に近く郵送する。

 理事会初日の23日、複数の理事から「理事会として態度を表明すべきだ」との意見が出て、急きょ取りまとめた。

 放影研の予算は、年間約37億円。うち日本独自の研究分として約9億円を厚生労働省が負担。残る約28億円を米エネルギー省と厚労省が折半している。

 3月中旬、エネルギー省の予算担当者が来日し、出資金削減の方針をベネット理事長らに伝えた。削減率などは示されていないが、「安全保障政策への重点配分」などを理由に挙げたといい、イラク戦争やテロ対策が背景にあるとみられる。

 ベネット理事長は会見で、ベーカー駐日米大使が放影研の研究を支持した点などを挙げ、「最終的には例年通りの出資金が出るはずだ」との見通しを示した。


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