[原子力産業新聞] 2004年7月15日 第2243号 <1面>

[原研・サイクル機構] 産業界との連繋重視

来年度の統合原子力法人発足に向け、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構は」12日、「統合に関する懇談会」(座長=秋山守・エネルギー総合工学研究所理事長)の第2回会合を開催、事業の基本的な考え方について説明するとともに、新法人と産業界との連繋について議論を行った。

新法人の事業の基本的考え方は、2法人統合準備会議がまとめた報告書をもとに加筆・作成したもの。新たに付け加えられた具体的業務は、「核不拡散推進センター」の設置、国内外の原子力情報を収集・分析するシンクタンク機能など。

新法人が、産業界のニーズを踏まえた、新産業の創出につながる研究を行うためには、研究開発の早い段階から、産業界との密接な連携が不可欠。また、研究成果の知的財産化や、成果を産業界が活用しやすい汎用性のある技術レベルまで進展させる必要がある。

産業界のニーズを適切に反映させるため、新法人は、経営に関する諮問会議の設置など、研究開発計画への産業界の意見の反映、研究開発の早い段階から産業界との密な連繋により、共同研究を進める仕組みの整備、産業界とのインターフェースとして「実用化コーディネータ」機能の強化や経営者、実務者レベルでの協議体の設置などを考えている。

産業界との連繋に関しては、懇談会のメンバーから、「ニーズの取り込みやシーズの提供を、どのタイミングでやるか難しい」等の意見が出され、さらに議論が必要との結論となった。また、産業界は研究開発から実用化へのスピードを要求するが、原研やサイクル機構は現状ではそのような体制がとりにくく、独法化して対応する必要があるとの指摘もあった。

統合に関する懇談会は今後も、産業界との連携方法などについて、設立法が施行される直前まで開催、その結果を新法人の中期計画などに反映させる意向だ。


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