[原子力産業新聞] 2004年7月15日 第2243号 <3面>

[露] 貯蔵・再処理センター構想も

6月27日からロシアのオブニンスクで開かれた原子力発電50周年記念国際会議に出席のため、ロシアを訪れていた国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は、モスクワでプーチン大統領やフラトコフ首相らと会談(=写真)、核不拡散体制強化で合意した。この会議の模様とその背景を、ロシア・ノーボスチ通信社の政治評論員M・ベーレニカヤ氏の解説で紹介する。(ノーボスチ通信社配信)

エルバラダイ事務局長とプーチン大統領が、初めて2000年11月にモスクワで会ったのは、プーチン大統領が国連のミレニアム・サミットで原子力産業から高濃縮ウランと純粋プルトニウムの使用を排除しようと提唱してから2か月後のことだった。

この提案は、今後数十年間、原子力産業は原子力発電所の安全性、不拡散体制の強化、放射性廃棄物問題の解決を考慮して発展すべきだということを意味している。このとき、IAEA事務局長はロシアの提案を支持した。

訪問中、エルバラダイ事務局長は「原子力の平和利用と核兵器不拡散の問題を含め」すべての面でのロシアの支援に対して感謝を表明した。

モスクワは、大量破壊兵器(WMD)拡散の脅威が依然として残っていると見ている。イワノフ安全保障会議書記によれば、国際社会の課題は「これらのプロセスを厳格な国際的管理のもとに置いて、核兵器を不安定化の目的に使いかねない連中の手に渡らないようにすること」にある。

ロシアの外交官たちは、国際テロリズム、組織犯罪と核・化学・生物兵器の違法取引の間に密接な関係があることを再3指摘してきた。モスクワはWMDの闇市場存在の問題に特別の注意を向けるべきだと考えている。

モスクワの立場は、ピョンヤンもテヘランも、IAEAとの緊密な協力を条件に、原子力を平和目的で利用する権利を持っているというものである。ロシアがテヘランの核開発計画を支援しているという非難に対して、ロシアの公式回答は決まっている。すなわち、イランが自国の国境から近いことを考慮し、ロシアはこの国がWMDを開発することを願っておらず、そのような事態の発展を阻止するために、可能な限りのことをする用意があるということであり、これは北朝鮮についても当てはまる。

ロシアがイランのブシェール原子力発電所1号機を建設していることとイランの核開発計画についていえば、これはロシアにとって2つの異なる問題であり、IAEAも同じ立場をとっている。エルバラダイ事務局長は、ロシア首脳部との会談で、ブシェールについては、「国際世論の懸念材料ではない」ので取り上げられなかったと答えた。

また、6月初めに米国で行われた主要8か国サミットで、プーチン大統領は「イランが核開発計画の透明性についてのIAEAの条件に違反すれば、ロシアはブシェール原子力発電所の建設を停止することができる」と言明した。もっとも、プーチン大統領は「今のところイランはこれらの要求を履行しており、われわれは工事を停止する根拠を目にしていない」とも強調した。

エルバラダイ事務局長のモスクワでの会談ではまた、「使用済み核燃料貯蔵・再処理国際センター」をロシアに建設する可能性についても話し合われた。ロシア首脳部は、使用済み核燃料に対して管理を確立することが必要だと考えているので、現在、このプロジェクトの実施可能性を研究している。

もっとも、ロシアはこのような貯蔵所の唯一の建設候補地ではない。この問題についての最終決定は、IAEAとロシアの専門家がそれぞれに実施する多数の専門的分析を経て行われる。

WMD不拡散問題に対するロシアの真剣さは、エルバラダイ事務局長から高く評価された。一方、プーチン大統領も「IAEAの活動は高度にプロ的であり、その活動には何らの政治的思惑も見られない」と述べた。そしてこの点がロシアでは最も高く評価されているのである。


Copyright (C) 2004 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.