[原子力産業新聞] 2004年7月29日 第2245号 <1面>

[サイクル機構・電中研] 2010年頃工学規模開発着手へ

乾式再処理技術の共同開発を進める核燃料サイクル開発機構と電力中央研究所は、2010年頃から実用規模に近い工学規模試験装置の開発に着手し、2020年までには同装置を使用したリサイクル操業を開始する計画だ。今月20日の原子力委員会定例会議に示した。これにより、2025年頃には日本型乾式再処理技術を確立する計画で、今後、工学規模試験装置開発のための予算確保を働きかける。

サイクル機構と電中研の乾式再処理技術開発は、軽水炉の使用済み燃料処理、使用済み燃料中間貯蔵後のオプション提示、金属燃料を用いた高速炉燃料サイクルの確立などを目標とする。使用済み燃料処理では、六ヶ所工場では対応できないプルサーマル使用済み燃料、高燃焼度使用済み燃料などをターゲットとする。第2再処理工場に向けた技術開発という位置付けでもある。

2002年には、還元、電解、蒸留、燃料サンプリング、酸化などの各装置により構成、乾式再処理から燃料製造まで連続試験できる研究ライン(=写真)をサイクル機構の東海事業所の高レベル放射性物質研究施設に設置。今月からプルトニウムをウランとの混合酸化物の形態で投入、乾式再処理の特徴であるプルトニウムとウランを一括回収する試験に着手している。

実用規模に近い工学規模試験ラインは1バッチの処理量が30〜50重金属キログラム、年間50重金属トン前後と、研究ラインの数十倍の処理能力を有するもの。2010年頃から設計に着手、引き続きラインの建設、コールド操業などを行い、2020年までにはホット試験およびリサイクル操業に入る計画。ライン建設には数百億円の費用を見込んでいる。

乾式再処理技術は、米エネルギー省(DOE)がAFCIプログラムとして、長寿命核種をウランとともに回収する技術を開発しているほか、欧州では第6次フレームワークプログラムとして高レベル廃液から超ウラン元素を分離回収する技術を開発中。サイクル機構と電中研によるあらゆる酸化物燃料と高速炉サイクル用金属燃料に対応する工学規模の試験ライン建設に向けた具体的な動きは国際的にも関心を集めそうだ。


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